プーチンは停戦の前にウクライナが実質的に降伏することを要求している=戦争研究所

米国の戦争研究所(ISW)は、ロシアの首脳プーチン氏がウクライナの降伏を伴わないウクライナとの和平協議・和平合意を拒否しているとし、それは忍び寄る前進と西側の支援の長期化、消耗戦での勝利にて、ロシアの戦勝を追求できるというプーチン氏の評価を示していると指摘した。

ISWの4日付報告書にプーチン氏による7月4日の上海協力機構(SCO)首脳会議の際の発言の評価を示している

報告書には、「プーチンはウクライナの降伏を伴わないいかなる停戦合意も拒否しているが、これはさらに、ロシアがウクライナで忍び寄る前進を続け、西側の対ウクライナ支援を長引かせ、ウクライナ軍に対する消耗戦で勝利することで、勝利を追求できるという評価に自信を持っていることを示している」と書かれている。

また、プーチン氏は「停戦合意に関して、あらゆる意味ある交渉にロシアが参加することを拒否し、その代わり、あらゆる停戦合意の前提条件として、ウクライナの『不可逆的な』『非武装化』を要求した」ことが喚起されている。ISWは、つまり「プーチン氏は、あらゆる停戦の前にウクライナが事実上降伏することを要求している」のだと指摘している。

またISWは、「プーチンは、そのような協議に典型的な見せかけの関心を提示する代わりに、あらゆる停戦協議プロセスを全面的に拒否した」という点を指摘している。

その他報告書では、プーチン氏がウクライナの主権に関する西側の譲歩を促すために、西側を停戦合意における交渉相手として繰り返し描いてきたが、しかし今回は、プーチン氏がウクライナとロシアの間のあり得る仲介者としてのあらゆる仲介者を明確に否定したことが報告されている。

さらに、ISWは、「プーチン氏は、以前は(編集注:ウクライナの国会)『最高会議』をロシアが協議を行い得る唯一の合法的なウクライナの機関だと主張していたにもかかわらず、(編集注:今回は)『最高会議』を協議にとってのあり得る窓口とすることも否定した」点を指摘している。

そしてISWは、プーチン氏が現在ウクライナの全ての統治機関を非合法、あるいは協議に適さないと呼んだこと、また協議における第三者の参加の案も否定したことを指摘した上で、「事実上、停戦合意の意味ある協議を行うための現実的なプロセスを拒否している」と説明している。

ISWは、プーチン氏が停戦合意の第一条件として、ウクライナが不可逆的な非武装化措置に合意することを要求したことを伝えている。また、プーチン氏が「ロシアはウクライナ軍が停戦を利用して軍を再編することを認められない」と主張したことも報告されている。

その上で報告書には、「ISWは、ロシアが停戦の休息を利用し、ウクライナを破壊することを目的とするさらなる侵略のために、軍備を再編・拡大し、自国の防衛産業基盤をさらに動員するだろうと評価している」と書かれている。