ロシアは対ウクライナ戦争の完全な責任を負う=NATO加盟国外相声明
29日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国外相は、ロシアの対ウクライナ侵略は、欧州大西洋空間全体の平和、安全、安定へと脅威をもたらしており、ロシアこそがこの戦争と国際法の著しい違反の完全な責任を負っているとする声明を発出した。
同日ブカレストにて開催された初日のNATO外相級会合にて声明が採択され、NATO公式ウェブサイトに声明が掲載された。
声明冒頭には、「私たちは、継続中のロシアの対ウクライナ侵略が欧州大西洋の平和、安全、繁栄に脅威をもたらしている中で黒海沿岸から近くのブカレストに集まった。ロシアは、この戦争、国際法と国連憲章の原則への著しい侵害に完全な責任を負っている」と書かれている。
外相たちは、ロシアの侵略が、民間・電力インフラへの体系的な攻撃を含め、何百万人のウクライナ国民から基本的なサービスを奪っていると指摘した。また、この侵略が世界の食料供給にも影響をもたらし、世界の最も脆弱な国や人々を危険にさらしていると書かれている。そして、ロシアのハイブリッド活動、エネルギー脅迫、無謀な核レトリックを含む、同国が行っている受け入れられない行為は、ルールに基づく国際秩序を弱体化させていると指摘された。
また、閣僚たちは、11月15日のロシアの対ウクライナ・ミサイル攻撃の際にポーランド領内に落ちたミサイルにより同国国民が死亡した事件につき、ポーランドへの連帯を表明している。
また声明では、強制追放、拷問、女性、子供、脆弱な状況にある人々への蛮行のような、ロシアによるウクライナ民間人への残酷な振る舞いが非難されている。そして、紛争と関係する性的暴力を含む、戦争犯罪に責任のある人物は皆、その責任が追及されねばならないと強調されている。また、ベラルーシを含め、ロシアの対ウクライナ侵略戦争を促す主体も非難されている。
その他、外相たちは、同日のウクライナのクレーバ外相との会談を歓迎し、ウクライナとの完全な連帯を表明した。
さらに外相たちは、ウクライナの独立、主権、領土一体性への堅固な支持を再確認した上で、国連憲章の著しい侵害である、ロシアによるウクライナ領土の違法併合を決して認めないと強調した。
また、外相たちは、ウクライナへの政治的・実際的な支援を継続し、さらに強化していくと伝え、「私たちは必要な限り支援を維持していく」と強調した。その点で、NATOは、EUをはじめとする国際機関、ならびに同志国などと緊密な連携を続けると伝えた。
支援に関して、声明には、ウクライナの強靭性強化、自国民保護、ロシアの偽情報・嘘キャンペーンとの対峙の支援をしていくと書かれている。
さらに、外相たちは、エネルギーインフラの修復やミサイル攻撃からのウクライナ国民を守る支援も行うと伝えた。
外相たちはまた、ウクライナが自らの自由かつ民主的な未来を守り、自らの防衛分野を近代化し、長期的な相互運用性を強化し、さらなる侵略を抑止できるようにすべく、ウクライナの戦後復興・改革の道における長期的努力を断固ととして支持していくと表明した。「私たちは、ウクライナが欧州大西洋願望を前進させる中で、ウクライナとのパートナーシップを引き続き強化させ続ける」と書かれている。
その他声明では、フィンランド・スウェーデンの外相の今回の会合への参加が歓迎されており、両国のNATO加盟がNATOをより強固にすること、両国とNATO空間により大きな安全をもたらすことが指摘されている。
さらに、西バルカン地域と黒海地域の戦略的重要性が強調され、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、モルドバを含むNATOパートナー国外相との会合が歓迎されている。
また、NATOはオープンドア政策の義務を維持するとし、2008年のNATOブカレスト首脳会談時とそれ以降に採択されたジョージアとウクライナに関する決定を改めて確認した。