ライムンド・アンジェイチャク・ポーランド軍参謀総長
西側文明はロシアに時間を与えないよう、ウクライナのためにより多くのことを行うべき
ポーランドのカルパチにて開かれている経済フォーラムでは、ロシアの侵略と戦うウクライナへの支援についても議論が行われている。
ウクルインフォルムの短時間インタビューを受けてくれたライムンド・アンジェイチャク・ポーランド軍参謀総長は、ウクライナが侵略国ロシアに対抗する上で、ポーランドはどのような支援ができるかにつき話してくれた。アンジェイチャク氏は、この戦争の持つグローバルな性格と、西側文明がウクライナの勝利を支援しなければならない理由についても説明した。
聞き手:ユーリー・バナヘヴィチ(ポーランド)
写真:ユーリー・バナヘヴィチ、Sztab Generalny WP
ウクライナ軍人の士気には感動を覚える
アンジェイチェク将軍、あなたはウクライナ軍の前線、特にザポリッジャ方面での進軍、をどのように評価していますか。
残念ながら、ロシア人は、非常に残忍な軍事アプローチをはじめ、数百年間同じ基準を運用しています。私は、ウクライナ軍の進展をフォローしており、私たちがウクライナのために用意している支援が現実のニーズに合致し、それが適時届くようにするために、ウクライナや同盟国の司令部と緊密に連絡を取り合っています。それは容易な課題ではありません。ロシア人が非常に強固に塹壕を掘ってきたため、戦術的観点でのウクライナ人の課題は非常に困難です。しかし、ウクライナ軍人の士気には感動を覚えています。
しかし、大隊、旅団がどこに投入されているかというような質問に答える前に、私たちは、はるかに深刻な問いをしなければなりません。というのも、戦争は政治的なものだからです。
どういう意味ですか?
私たちが現在政治的プロセスにあることを理解することが大切なのです。私は、大きな注意を持って、ヴォロディーミル・ゼレンシキー・ウクライナ大統領のビルニュスへの訪問をフォローし(編集注:北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のこと)、ウクライナがNATOに加盟するため、そこへの出発点、つまり、ウクライナに安全の保証が供与されるようにするために、彼がどれだけ努力しているかを目の当たりにしました。
私は政治家ではなく、軍人であり、課された課題を遂行します。ポーランドの大統領と首相は、ウクライナ支持を明確に表明しました。そのため、私たちは、他の国にとっての模範となるように行動しています。一緒に行動すればより多くのことができるからです。私の考えでは、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の国々、西側文明全体は、ロシアに時間を与えないために、ウクライナのためにより多くのことができるし、すべきです。これは、衝突の戦争であり、相互破壊の戦争です。これは、リソース戦争であり、ロシア人は、損耗、予備兵、前線に送る60年台の戦車に関して、異なる基準を有しています。彼らは、自分たちのところで不足している技術を得るために、全世界を腐敗させています。それと、私たちが行っていることは、比較できません。
ウクライナは、長い戦争を遂行することはできません。あなた方には、戦争遂行のため、その後ウクライナを再建するための人が足りなくなる。私たちは、それを完全に認識しています。倫理的観点から重要であった、戦火から逃れて出国したウクライナ人数百万人を受け入れること、そして国のコントロールを回復すること。それが第一局面でした。しかし、私たちは、ウクライナ人が家へ帰れるような条件を作り出さなければならない。そのために、ウクライナは勝たねばならないし、私たちは他の選択肢は認めては絶対にならないのです。
他方、その政治的要素には軍事的要素もあります。反転攻勢、地雷原の克服、様々な作戦行動の遂行。これらについては、ロシア人に追加的情報を提供しないために、私はあまり詳しくは述べないようにします。
ウクライナにおける戦争は、局地的紛争ではなく、グローバルな性格を持つもの
あなたは、ウクライナ軍の前線での成功が控えめなもので、それが今後の西側の軍事支援の水準に影響を与えるかもしれないと述べている、ポーランドをはじめとする一部の西側の政治家・軍事専門家の発言をどう評価していますか。
もし、成功がより大きければ、私たちは全く異なる状況について話していたでしょう。しかし、ウクライナは、小さな国ではないロシアと戦っているのです。ヴァグネルとだけではなく、その国の社会が支える強力な軍と、です。その軍は、核兵器も持っています。そのため、私は、そのコメンテーターたちに対して、むしろこう問いたい。あなた方は、ウクライナ人たちの立場になった時に、より良く準備をして、より大きな進展を出せるのか、と。私は、ウクライナ人たちを批判するのではなく、士気の面で支えるためにアクセントを変えようとするでしょう。批判するのは、人間的観点からして、非倫理的です。そのエネルギーは、より多くの軍事機材や装備、より多くの支援、モラルサポートを準備するのに使うべきです。なぜなら、ウクライナにとって、この戦争は全てに関わることなのだから。そして、それはポーランドにとっても同じです。
あなたは、ウクライナの司令部と常にコンタクトを取っていると言いましたね。
ええ、ザルジュニー将軍とです。
現時点のウクライナ軍が最も必要としているものは何でしょうか。そして、ポーランドはどうやってウクライナを支援していますか。
私たちは、実質的に初日からウクライナに装甲車、弾薬、戦闘用装備、医薬品を供与していました。多くの物をです。それは非常に機微な情報であり、私はそれを詳しく述べたくはありません。誰かにとって物事を楽にさせてあげたくはないので。他方、私たちはまた、装備品が正常に使えるよう、訓練、物流にも投資しています。それはウクライナ軍にとって新しい装備品なので。私たちはまた、ウクライナ軍人がそれら装備品の使い方をどれだけ迅速に習得しているかについて、感激しています。よって、支援は様々なレベルで行われています。基本的には、私たちは、ウクライナ軍の最新のニーズを知り、できるだけ迅速に、私たちが何によって支援ができるかを理解するように活動しています。しかし、私たちは、一つ一つの国が、ウクライナに対して、ポーランドが行っているのと同様の数の武器を送って欲しいと思っています。また、私たちが前線に隣接する国であることを考慮すれば、そのような武器の供与の代償は、私たちにとっては、他の欧州の国にとってよりもはるかに高いものでもあります。
ウクライナがこの戦争に勝たなければならない理由は何でしょうか。
なぜなら、もし私たちがウクライナを失えば、それがベラルーシをモスクワに追いやることになるからです。私たちが、ウクライナとベラルーシを失えば、NATOであり、西側文明である私たち自身に対する信頼を失います。そして、それら全てを中国が見ています。そのため、これはグローバルな事柄なのです。ウクライナにおける戦争は、局地的な紛争ではなく、グローバルな意味を持つ、最重要の戦争なのです。