EU裁判所、ガスパイプラインの露企業独占を認めない判決 ポーランドとウクライナに有利
欧州連合(EU)の裁判所は、ポーランド政府の訴訟内容を認め、ガスパイプライン「OPAL」のロシアのガスプロム社による実質的独占使用を可能とする欧州委員会の決定を無効化した。
10日、ポーランド・エネルギー省が公表した。
クシシュトフ・トフジェフスキ・エネルギー相は、「裁判所は、ポーランド側の正当性を認め、この(編集注:欧州委員会の)決定を無効化した。この判決により、ポーランドのみならず、ウクライナのエネルギー安全保障が維持される。ガスプロム社がOPALを完全にコントロールしていたら、ウクライナを通るガスパイプラインは利用されなくなるところであった。今回のEU裁判所の判決は効果的なものである」と発言した。
同大臣はまた、今回の判決は、ポーランドにとって有利なものであり、欧州におけるガスプロム社の独占的立場を弱めるものだと説明した。
大臣は、「本件は、規範を守らなくても欧州エネルギー市場において活動できると考える者に対する、教訓である」と強調した。
加えて、大臣は、今回の判決がウクライナにとって有利だとみなす理由について、近く、ロシア産ガスのウクライナ領通過に関する契約が終了することに関連し、「OPALのガスプロム社による利用が制限されることにより、同社は、ノルド・ストリームの利用を縮小せねばならなくなり、それにより、同社はウクライナ領を通じたガス輸送を完全には止められなくなる。そして、欧州委員会とウクライナとの3者協議を継続せざるを得なくなるのだ」と説明した。
なお、ガスパイプライン「OPAL」は、年間360億立方メートルのガス輸送能力を持ち、ノルド・ストリームの延長で、陸上のドイツ領を通る延長パイプライン。
2016年10月、欧州委員会は、ガスプロム社とその傘下企業に対して、OPALの100%利用を許可する決定を下していた。しかし、同年12月、ポーランド政府が欧州裁判所に対して、この欧州委員会の決定を提訴。同政府は、ガスプロム社に中欧諸国へのガス供給の独占的立場を与える同決定の無効化を要求していた。その後、リトアニアとラトビアがポーランド政府の訴訟に賛同。一方で、欧州委員会の立場は、ドイツ政府が支持していた。