ザポリッジャ原発付近の変電所に無人機の攻撃あり=IAEA
国際原子力機関(IAEA)は、ウクライナ南部ザポリッジャ原子力発電所の占拠を続けるロシア占領政権代表者がIAEAに対して、3日、複数の無人機が原発近くの変電所など複数施設に対する攻撃を行い、従業員が負傷し、森林火災が生じたと報告してきたと伝えている。
3日、IAEAが報告書を公開した。
発表には、「ザポリッジャ原発(編集注:ロシア占領政権)が述べるところでは、現地時間10時40分以降、エネルホダル近郊で3回の無人機攻撃があり、変電所の1つに着弾し、8人の作業員を負傷させた。IAEA専門家は、この攻撃とされるものにより、2つの変電所のうち少なくとも1つから油漏れが生じ、変電所上部と接続線が損傷したと報告された」と書かれている。
また、占拠されるザポリッジャ原発敷地内に滞在するIAEA専門家は、無人機が隣接する森林に衝突し、風のある条件下で火災が発生したとの報告を受けた後に、同発電所の750キロボルト(kV)の開閉所付近から濃い煙が上がり、爆発音が聞こえたと伝えた。
報告書には、「消防士が炎を制御するために活動していた。開閉所はザポリッジャ原発の敷地内の外に位置する。現時点で、IAEA専門家は、敷地内における被害は何も報告していない」と書かれている。
結果、被害を受けた変電所「ラドゥハ」は現在使用停止となっているが、「エネルホダルと近隣産業地域には電気供給が続いている」と書かれている。
IAEAは、この最新の事件は、核安全保障にとってさらなるリスクをもたらしているとし、なぜなら、ザポリッジャ原発に残された750kVの送電線が冷温停止中の6つの原子炉の冷却とその他の不可欠な原子力安全・セキュリティ機能に必要な電力を供給しているからだと伝えている。現在750kVの送電線と330kVの予備送電線はまだ使用可能だが、状況は不安定なままだという。
グロッシーIAEA事務局長は、報告書にて、「このような無人機攻撃は、エネルホダルの人々やザポリッジャ原発の安全にとって明らかに明白な危険を提示しているにもかかわらず、それが続けられていることは極めて懸念をもたらす。このような攻撃は速やかに止められねばならない」と強調した。
写真:コスチャンティン・リベロウ