マレーシア航空機撃墜事件の被害者親族55名、欧州人権裁判所にてロシアを提訴

2014年にウクライナ東部でマレーシア航空機MH17が撃墜された事件で、亡くなった被害者の遺族55名が、ロシアによる彼らの権利の侵害と捜査の意図的妨害に関して欧州人権裁判所に提訴した。

23日、オランダのNOS通信が報じた。

NOSの報道には、「MH17の事件で亡くなった人々の遺族55名が、ロシアを相手に欧州人権裁判所に提訴した。彼らは、2014年7月17日にウクライナ東部においてマレーシア航空機の撃墜により、彼らの基本的人権がロシアに侵害されており、また、ロシアが事件の捜査を妨害しているとして同国を断罪している」とある。

この遺族達の弁護士であるメヴァさんは、ロシアは国際共同捜査グループ(JIT)に重要な情報を提供しなかったことを指摘し、またロシアが提供した「証拠」なるものは後に偽造されたものであったことが判明したと述べた。

NOSの報道では、本日の提訴は、JITがロシアの関与について発表した記者会見から6か月経過したことに合わせて、欧州人権裁判所に提出されたとあり、これは同裁判所の規則で、新たな事実が判明してから6か月経過した後に提訴が可能になるからであるとのこと。

この提訴が受け入れられた場合、審議手続きは5年から7年かかる可能性があると指摘されている。

なお、この提訴は、MH17被害者遺族が提出した最初のものではない。2016年時点で、アメリカの弁護士ジェリー・スキナーがオーストラリア、ニュージーランド、マレーシアの遺族を代表して、ロシアに対し、3億3000万ドルの補償金の支払いを求めた提訴を行っている。

これまでの報道では、本年5月24日、国際捜査チーム(JIT)は、オランダで、2014年7月にウクライナ東部ドネツィク州の上空でマレーシア航空機MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、このミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることを判明させていた。ロシア国防省は、ロシアの地対空ミサイル・システムは一つとしてウクライナとの国境を越えていないと発表していた。