国際海洋法裁判所判決 ウクライナ外務省声明
ウクライナ外務省は、5月25日の国際海洋法裁判所(ITLOS)の判決を受けて、同判決は、国際法を違反すれば無罰ではいられないということをロシアに対して示す深刻なシグナルを含んでいるとの見解を示した。
25日、ウクライナ外務省が関連声明を発出した。
声明には、「本日(25日)、ITLOSは、ロシア連邦に対して、ウクライナ艦船『ベルジャンシク』、『ニコポリ』、『ヤニ・カプ』を速やかに解放し、この3隻をウクライナに返還しなければならず、またウクライナ海軍軍人を速やかに解放し、彼らをウクライナに帰国させねばならないとする命令を下した。ウクライナ外務省は、ITLOSがウクライナの要請した内容で暫定措置命令を採択したことに満足している」と書かれている。
ウクライナ外務省はまた、今回の命令には、国際法を違反すれば無罰ではいられないということをロシアに対して示す深刻なシグナルを含んでいるとし、艦船3隻のだ捕と、ウクライナ海軍軍人24名の拘束は、国連海洋法条約(UNCLOS)と慣習法による艦船の有す免責に対する著しい違反であることを強調した。
続けて、声明には、「ITLOSが指摘したように、UNCLOSの第7付属文書にのっとり設置された仲裁裁判所がウクライナの艦船と軍人に関連する権利と免責があることを認めれば、ロシア連邦が行った行為は、そのウクライナ軍艦船と軍人の有する権利と免責に対し、回復し得ない損害を与える可能性がある。さらに、同裁判所は、現状、回復し得ない損害は現実的なものとなっているとみなしている」と指摘されている。
外務省はまた、今回のITLOSの命令は、ウクライナ側が2019年4月に同裁判所に対して暫定措置を要請した件に関するものであるとし、本件はロシアがウクライナ軍艦船3席と軍人24名の有する免責を侵害していることに関わるものだと説明した。
声明には、「とりわけ、ロシアがウクライナの艦船・軍人をだ捕・拘束したことは、艦船とその乗員がだ捕・拘束、その他あらゆる国内法手続から完全に免責されることを保証するUNCLOSと慣習法への違反である。ITLOSが今回決定した、(ウクライナ側による)暫定措置の要請の目的は、案件審議の際に、今後の回復し得ない損害からウクライナの有す権利を保護することにある」と説明されている。
これまでの報道にあるように、5月25日、国際海洋裁判所は、ロシアに対して、同国が拿捕・拘束するウクライナ海軍の艦船とその乗員を速やかに解放しなければならないと命令する判決を下している。
その際、ITLOSは、本件がITLOSの管轄ではないとするロシア側の主張を棄却し、本件がITLOSの扱う問題であることを認めている。