東方諸国への民主主義の拡大はEUの利益に適っている=EU上級代表

欧州連合(EU)のボレル上級代表は、EU外政にとって重要な方向性の一つは東方パートナーシップ(EaP)参加国をはじめとする東方諸国での民主主義の発展であり、それはEUの利益に適うことだと発言した。

ボレル氏がストラスブールの欧州議会本会議における、EUの対露関係方針に関する議会報告案作成議論の際の演説にて発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ボレル氏は、「あなた方が報告書にて正しく指摘したように、私たちは東方のパートナー国との協力を強化している。民主主義の支持はEUの重要利益のままである。私たちは、専制政治の世界の中の民主主義の孤島であってはならない。民主主義自体がそうであるように、他の政治体制を持つ世界に囲まれては、私たちは生き延びられない。可能な限り多くの人々、多くの国と私たちの(民主主義)体制を共有することが私たちの利益なのだ」と強調した。

同氏は、ロシア政権の過去数年の政策は意図的にEUロシア関係を負の螺旋に追いやったと指摘しつつ、しかし気候変動、環境、イラン核合意、ロシアがプレゼンスを増しているリビア、シリア、中央アフリカといった国の情勢といった、複数の外政問題において、EUはロシアとのコンタクトを維持せざるを得ないのだと説明した。

その上で同氏は、「いかなる場合であれ、ロシアは私たちの最大の隣人であり、重要なグローバルプレイヤーであり続けるのだ。(中略)その際、ロシアとの関係においては、私たちの団結が最大の資産でなければならない。ロシアが私たちを分断したがっているのは明白だ。ロシアはEUに関心がない。彼らが関心を持っているのは、EUを避けて、加盟国と直接話すこと、その際全ての加盟国ではなく、自らにとって重要な国とだけ話すのだ。私たちを分断する試みに対抗するためにすべきことは、私たちの団結を維持することだ。信じて欲しいが、それは常に簡単なことではない」と発言した。

ボレル氏は、欧州理事会が6月にEU上級代表であり、欧州委員会副委員長である同氏に対して、EUロシア関係の今後の構築に関する提案を準備するよう指示したことを喚起しつつ、EUロシア関係は、以前定められた、欧州の利益と価値を守る5つの原則に基づかねばならないことを指摘した。同氏は、「その原則は非常に明確であり、ミンスク諸合意の完全履行を含んでいる。あと数日で私たちはウクライナとの連合評議会のためにキーウ(キエフ)を訪れる」と伝えた。

なお、ボレル氏の言うEUの対露関係に関する5つの原則とは、2016年にEU加盟国首脳とEU首脳が合意したもの。その中には、ウクライナ東部情勢解決のために2014年と2015年にウクライナ・ロシア・欧州安全保障協力機構(OSCE)が締結したミンスク諸合意の完全履行も含まれている。その他の原則は、東方と中央アジアのパートナー国・隣国との関係強化、エネルギー・サイバー空間分野における脅威へのEUの強靭性向上、中東やテロとの闘いといった選択された外政分野におけるロシアとの目的を持った連携の継続、ロシアの市民社会の支持、とりわけEUロシア間の人的交流の発展、となっている。