ゼレンシキー大統領、国連総会で演説 東部戦争とクリミア占領を喚起

米ニューヨーク市訪問中のゼレンシキー大統領は22日、第76回国連総会にて演説を行い、被占領下ドンバスとクリミアの状況を喚起した。

大統領の演説が大統領府のフェイスブック・アカウントにて中継された

ゼレンシキー大統領は、2019年にも国連総会の演壇でウクライナにおける戦争と1万3000人の死者、3万人の負傷者、150万人の国内避難民について話したことを喚起しつつ、「毎年、国連で述べられるこの数字は修正されている。残念ながら、毎年、この数字は増え続けているのだ」と述べ、2021年、死者数は約1万5000人となっていると発言した。大統領は、「これが自由の対価、独立の対価である」と発言した。

ゼレンシキー大統領は、クリミアに関しては、「ユニークな自然に軍事基地が作られた。ファウナ(動物相)とフローラ(植物相)の代わりに、そこには艦隊と兵隊が存在し、クリミアの人々の心の中には、地球温暖化ではなく、地球の破滅という、他の世界とは異なる問題が横たわっている」と発言した。

さらに大統領は、1945年、クリミアではヤルタ会議が行われ、新たな世界の秩序の基盤が築かれたと述べ、その際に、国連創設に向けた最初の会議開催が決められたと喚起した。その上で大統領は、「ヤルタも、クリミアも、8年間の占領である。国連のアイデアが生まれた場所が国連安全保障理事会常任理事国によって占領されているのであるから、私たちは国連を活性化したいのだ」と指摘した。

また、大統領は、ロシア連邦による被占領下ウクライナ領でのロシア国籍付与につき喚起し、「被占領下ウクライナ領にて何十万ものウクライナ国民に対して、他国の身分証明書を何十万も交付する。これが国際犯罪の証拠でなければ何だろうか? 無罰と国際法軽視の証拠ではないか? さらに、ロシア連邦はそのことを公式に発表している。同国は、私たちの国民にロシアの議会の選挙への強制的に参加させているのだ」と発言し、このような国際法違反へと対応するためには、国連の活性化が必要だと述べた。大統領はまた、国連安保理常任理事国の拒否権のメカニズムが他国を脅迫するための手段となっていると指摘した。

その他、ゼレンシキー大統領は、国連総会が世界の問題を解決できていないと指摘し、「有効な手段がなければならない」と強調した。大統領は、ウクライナは批判するのではなく、新しいフォーマットを主導しているとし、とりわけグローバルな問題の存在する場所での対話のための新しい場を作ることを提案していると述べた。大統領は、「私たちは、サミットをしよう、新しいプラットフォームを作ろうと述べている。問題がある場所でだ。クリミアの占領のような、問題を抱えていれば、その問題の本質とどうしたら解決が可能かが理解できるようになる」と発言した。その上で大統領は、ウクライナがクリミア・プラットフォーム首脳会談の開催を提案したことを喚起し、「同様に世界上に多くのさまざまな問題がある。私たちは、重要な会合の、言うなれば『非中央集権化』を支持する用意がある」と発言した。

なお、ゼレンシキー大統領は、第76回国連総会本会議に出席するために米ニューヨーク市を訪れている。