クレーバ宇外相、米露首脳会談に「突破口」は期待していないと発言

ウクライナのクレーバ外相は、7日に予定されているバイデン米大統領とプーチン露大統領によるオンライン協議から、情勢解決の突破口は期待していないと発言した。

6日、クレーバ外相がICTV局番組出演時に発言した。

クレーバ氏は、「もちろん、世の中、どんなことでも起こり得るのだが、しかし、私は、明日、何らかの突破口は期待しない。私は、双方が自らの今後の行動のロジックに関して最大限の見方を口にし、その後、状況がその後どのように発展していくかにつき、複数のチームが作業をしていくということになるだろうと思っている」と発言した。

またクレーバ氏は、バイデン米大統領はプーチン露大統領に、ロシアが再侵攻に踏み切った場合にウクライナのパートナー国がどう行動するかにつき非常に明確なシグナルを伝える、プーチン氏はそれを耳にすることになると発言した。

さらにクレーバ氏は、ロシアによるウクライナをNATOに加盟させないための主張へ反論するために、ストックホルムで開かれた欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会の際に各国外相と作業を始めたと伝えた。

そして同氏は、「私が話をした方の内、誰一人として、その話(編集注:ロシアによるウクライナのNATO加盟阻止の主張)を支持した者はいなかった」と述べ、「だから、今回何らかの類似の合意が達成される可能性を私は排除する。ウクライナの人々だけが、ウクライナがどこへどのように向かうかを決めることができるのだ」と強調した。

クレーバ氏は、ウクライナが公式に非軍事ブロック化を宣言していた2014年時点に、ロシアがウクライナに侵攻したことを喚起した。さらに同氏は、1994年、モルドバが中立を宣言したが、その際同国はそれがトランスニストリア問題の解決に役立つと思っていたが、「しかし、中立は紛争解決には何の役にも立たなかった」と説明した。

その上で同氏は、「皆が理解しているように、現在のロシアは安全を模索していない。同国は、紛争にて生じる混沌を模索している。なぜなら、その混沌にて、ロシアは自らにとって追加的な優位性を得ることができるからだ」と指摘した。

これに先立ち、ウクライナ国防相は、ロシア軍の侵攻の可能性があるのは1月末であり、現在ロシア軍部隊兵力9万3200人が国境沿いや被占領地に集結していると発表していた。米ワシントンポストは、米情報機関の情報として、現在集結している露軍兵力は約7万と評価しつつ、1月にはこれが約17万5000人、大隊戦術群100個にまで増えた上で侵攻が始められる可能性があると報じた。他方で、ロシア政権は、侵攻計画を否定しており、ウクライナの武装を認めているとして欧米諸国を非難している。

7日にバイデン米大統領とプーチン露大統領がオンライン会談を行う予定となっている。

これに先立ち、6日、ウクライナのゼレンシキー大統領は、ブリンケン米国務長官と電話会談を行っている。その際、ゼレンシキー大統領は、平和的情勢解決プロセスには代替がないことを強調した他、ブリンケン米国務長官に対して、国境沿いの状況を報告した。また、双方は、7日の米露首脳会談後にゼレンシキー大統領とバイデン米大統領が電話会談を行うことで合意している。また、バイデン米大統領は6日、英国、イタリア、ドイツ、フランスの首脳とも本件につき電話会談を行い、立場を調整している。