駐米ウクライナ大使、「ウクライナの中立化」についての噂にコメント

オクサーナ・マルカロヴァ駐米ウクライナ大使は、米国政権側からロシアへの妥協に関する話は全くないと指摘した。

マルカロヴァ氏がニュースサイト「左岸」へのインタビュー時に発言した

マルカロヴァ氏は、「私たちは、ロシアとウクライナの話に関して、米国のパートナーたちから一度も『妥協』という言葉を聞いたことがない。また、支援額を減らすとか、軍事演習の数を減らすといった話も私たちの間には一度もなかった。実際には正反対である。米国とウクライナは、外交的な問題解決手段を模索しているが、同時に私たちは、現状の侵略者が誰であるか、どの国の主権を守らなければならないのか、を明確に理解しているのだ」

また記者が、ウクライナ国内には、米国がウクライナの「フィンランド化」(編集注:軍事的中立化)シナリオに同意する可能性があるとの噂が流れていると指摘すると、マルカロヴァ大使は、そのような発言をするいわゆる「専門家」の目的は、ウクライナ社会に混乱を拡散することだと指摘した。

マルカロヴァ氏は、「繰り返す。私たちは、私たちの戦略的パートナー国である米国から、ロシア連邦の間の何らかの妥協に関するメッセージは一度も聞いたことがない。それは単にその言葉を聞いたことがないというだけではない。私たちは、過去半年の間にウクライナへのサポート、ウクライナの防衛・経済能力の発展が記載されている米国との間で関連文書に署名したのだ」と強調した。

同氏は、ウクライナは米国から明確な支持のメッセージを複数耳にしていると指摘した。同氏によれば、その1つ目は、「ウクライナ抜きでウクライナについては何も決定しない」というもの(編集注:バイデン米大統領による、ゼレンシキー宇大統領との電話会談時の発言)であり、2つ目は「ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)の関係は、ウクライナとNATO加盟国だけの問題」だというもの、3つ目は「米国には対話の準備があるが、欧州の安全保障の問題は、欧州抜きで決定されることはない」というものだと説明した。

さらに、同氏は、現在米国は、ロシア連邦に対して、外交的な情勢解決を達成するよう積極的に呼びかけつつ、同時に、別の道もあることもロシアに示していると指摘した。「米国と全文明的世界にとって、戦争は、望ましい情勢展開シナリオではない。同時に、ウクライナ主権への脅威の存在も理解しており、米国にはその点で妥協する準備もない」と強調した。

これに先立ち、ロシア連邦外務省は17日、ロシアと米国、及び、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の間の合意文書案を公開していた。同案には、ウクライナのNATO非加盟要求が含まれている。

ウクライナ外務省は、ロシア連邦外務省の要求に関して、ロシアがエスカレーションを止め、自らが始めたウクライナ東部の国家間紛争を止めることが、大陸における最善の安全の保証となると指摘している。

また、ドイツ政府は、ロシア連邦による安全保障要求につき、独仏宇露4国からなるロシア・ウクライナ紛争解決協議フォーマット「ノルマンディ・フォーマット」にて協議することも可能だとの考えを示している。

20日、サキ米大統領報道官は、NATOとウクライナの関係は、ウクライナとNATOの30の同盟国のみが定めるべきものだと改めてコメントしている。

28日、トラス英外相は、ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長と電話会談を行い、「侵攻はロシアにとって深刻な代償をもたらすこと、あらゆる対話はウクライナの主権を完全に尊重た上で行われなければならないこと」で一致したと伝えている