米政府当局者、露がウクライナを再侵攻した場合の方策の詳細に言及=米紙報道
米国とその同盟国は、ロシアがウクライナに再侵攻した場合、その数時間後に発動可能な対露制裁を準備している。
8日、米ニューヨークタイムズ紙が報じた。
米政府当局者は、ロシアとの危機を鎮めることを目的とする、10日のジュネーブでの協議を皮切りに始まる複数の外交協議を前にして、初めて計画の詳細を説明した。
米国が同盟国と最近話していた計画は、ロシアの大型金融機関をを世界の商取引から遮断し、米国発技術への禁輸を発動する他、ロシアの占領に対してゲリラ戦を行うウクライナの武装勢力への武器供与を含むという。
技術制裁は、「プーチン氏のお気に入りの産業」である、ロシア政府の主要な収入源となっている航空宇宙や兵器が対象となる。とりわけ、対象となるのは、戦闘機、地対空ミサイルシステム、対衛星ミサイルシステム、宇宙システム、人工知能、量子コンピューターだという。
米商務省は、携帯電話やノートパソコンから、冷蔵庫や洗濯機に至る、あらゆる日常電化製品のロシアへの輸出を禁止する可能性があるという。
200か国1100行以上の銀行の間の取り引きが行われる国際決済ネットワーク「SWIFT」からのロシアの遮断を行う準備があるかどうかについては、米当局者は答えなかった。同時に、欧州の当局者はその可能性は議論されてきたが、欧州の複数の大国が、冬季にたとえ短期間でも天然ガスと石油の供給がロシアにより止められる可能性を恐れ、最近までSWIFT遮断を検討するのを拒否していたことを伝えた。
さらに米国には、ロシアが侵攻した場合のゲリラ運動を支援する計画があるという。その場合、携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」供与を含む可能性のある、ウクライナのゲリラ戦参加者のための兵器供与も計画に含まれるという。
報道ではまた、1か月以上前に、サリヴァン米大統領安全保障担当補佐官が、プーチン露大統領が再侵攻に踏み切った場合の予測不可能な状況を分析するための省庁横断グループを設置したことが喚起されている。サリヴァン氏の傘下に作られた同グループには、国家安全保障会議、情報機関、国防省、財務省、エネルギー省、国土安全保障省の代表者が参加しているという。
このグループが、ウクライナの電力・パイプライン輸送の破壊を目的としたサイバー攻撃から、領土の奪取に至る、ロシアの侵略の様々な形態に応じた方策を作成しようとしている。
10日に欧州にて始まる協議は、シャーマン政治問題担当国務次官が担当するという。協議では、ロシア側高官が自らの「安全保障」要求を主張することが予想されている。プーチン露大統領は、ウクライナのNATO加盟を将来に渡り不可能とする約束をはじめ、NATO拡大の終了も要求している。同時に、バイデン政権は、ロシアの安全保障懸念について議論する準備があり、また米側からも長い要求リストがあると発表している。