ウクライナに関する対話は厳しい抑止方策を伴って行われるべき=ボレルEU上級代表

ボレル欧州連合(EU)上級代表は、ロシアが高めているウクライナ周辺の緊張を緩和することを現在の外交努力の主な目的として見ていると述べつつ、同時にロシアとの対話は、同国が際侵攻をした場合に備えた厳しい抑止方策と高い代償に関する明確な立場を伴って行われるべきだと発言した。

9日、ボレルEU上級代表によるEUのウクライナ支持と欧州の安全保障機構に関するブログ記事が欧州対外行動庁ウェブサイトに掲載された

ボレル氏は、「総じて、欧州安全保障全体にとって緊張が高まっている。(中略)私たちの主要な目的は、ロシアから緊張緩和を得ることだ。ロシアによるミンスク合意の完全履行が根本的な条件であり続けている。私たちは、三者コンタクト・グループ(ロシア、ウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE))とノルマンディ・フォーマット(ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツ)の枠内での紛争解決の再生に向けた外交努力を支持し続けていく。OSCE特別監視団(SMM)がそのマンデートを完全に履行するようになることも等しく重要である」と指摘した。

同氏はまた、対話は必要であるが、抑止と、ウクライナの主権と領土一体性への確固たるサポートを通じた解決もまた同様に必要だと強調した。加えて同氏は改めて、ロシアによるウクライナに対する更なる侵略は、ロシアに多大な結果と深刻な代償をもたらすと警告した。その点で、ボレル氏は、EUは大西洋間のパートナー国やその他の同志国と緊密なやりとりを続けているとし、「ウクライナの安全抜きに欧州の安全はあり得ない。ウクライナを超えて、欧州全体の安全保障機構が賭けられているのだ。ロシア首脳陣は、昨年12月の『協定案』から意図的にEUへの言及を一切省くことで、どうやら、古い時代、冷戦時代のロジックへと時計の針を戻そうとしているようだ。このロシアの提案は、1990年以降生じた進化を逆戻りさせることを意図したロシア政権の立場を確かに反映している」と強調した。ボレル氏は、ロシア政権のそのような行為の目的は、欧州の一体性を弱体化し、旧ソ連諸国の独立と主権を害することにあると指摘した。

その上で同氏は、そのような影響圏の線引きのような類は2022年にそぐわないとし、「『ヤルタ2』はあってはならない」と強調した。

同氏は、「その時代は間違いなく過去のものとなったのであり、私たちは、欧州の人々抜きに欧州の安全保障について議論することは一切ないことを明確にする必要がある。私たちは、米国やパートナーと、そのような議論がEUと調整し、EUの参加の下で行われることで合意した。さらに、ウクライナの独立や、ウクライナが自らの外政を選択する権利に対する制限もあってはならない。そして、言うまでもなく、ウクライナに関する議論はいかなるものであれ、ウクライナが席に着いた上で行われなければならない」と強調した。

これに先立ち、ボレルEU上級代表は、1月4〜6日、ドンバス地方の前線地域への視察を含め、ウクライナを訪問していた。