「ウクライナは日本の主権と領土一体性への尊重を確認した」=ゼレンシキー宇大統領 北方領土に関する大統領令も発出
ゼレンシキー宇大統領は7日、ウクライナは、現時点ではロシアの占領下にある北方領土を含めた、日本の主権と領土一体性への尊重を確認したと発言した。
ゼレンシキー宇大統領が7日夜の動画メッセージで発言した。
ゼレンシキー氏は、「今日、重要な決定が採択された。公正で、法的に非の打ちどころのない、歴史的な決定だ。ウクライナは、現時点でロシアの占領下にある日本の北方領土を含む形での、日本の主権と領土一体性への尊重を確認した。今日、私は関連の大統領令に署名した。関連のウクライナ最高会議声明もある。そして、私たちは、世界中の皆に対して、同様の決定を採択するよう呼びかける。ロシアは、その領土には一切の権利を有さない。世界の皆がそのことをよく知っている。そして、とうとう行動しなければならないのだ」と発言した。
同氏はまた、国際法に完全な力を取り戻すことができるのは、ロシアの占領からの解放によってのみだと指摘した。同氏は、「国連憲章と国際法秩序の根拠となる合意・条約の全ては、占領者が敗北し、世界の人々があらゆる占領から守られてはじめて機能するようになる。ロシアは、ウクライナと国際秩序と私たちの人々に対する現下の戦争によって、かつて奪い、現在クレムリンの支配下にある全てのものの真の解放がもはや時間の問題にすぎないという状況に自らを追いやったのだ。ロシアは、現代の侵略テロ戦争というのは戦争を始めた者を弱体化させ、不可逆的に破壊する道なのだということを、身を持って世界の潜在的侵略者全員に示すことになるのだ」と強調した。
さらにゼレンシキー氏は、「侵略者は負けねばならない。そして、負ける。このような戦争が繰り返されることのないように。平和が本当に長続きするものとなるように。侵略者には何も残してはいけない。信じている。そして、私たちのパートナーたちにとっても正義は回復されねばならない」と発言した。
また、大統領府ウェブサイトには、ゼレンシキー氏が言及した2022年10月7日付大統領令第692/2022『日本の北方領土問題』が掲載された。
同大統領令にて、ゼレンシキー大統領は、(1)「ウクライナは、現時点でロシア連邦の占領下にあり続けている日本の北方領土を含む、日本の主権と領土一体性への尊重を確認する」ことを指示した。さらに大統領は、(2)ウクライナ閣僚会議(内閣)に対して、ウクライナ政府と日本政府の間で1992年1月26日に締結された外交関係樹立合意に従い、北方領土が日本の主権領土の不可分の一部であるとの本大統領令の(1)の立場に基づいて活動を進めることを指示している。
これに先立ち、7日、ウクライナ最高会議(国会)は、北方領土問題において日本の立場への支持を表明した上で、国際社会に対して、北方領土の地位問題の解決を支持するよう呼びかける決議を採択していた。採択された決議には、北方領土問題に関する日本の立場を確認した上で、「日本領北方領土に関する日本の立場の支持を表明する」「当該領土は、引き続きロシア連邦の占領下にあり続けていることを認める」「国際社会に対して、日本の北方領土の地位の法的解決に向けあり得る方策を取り続けることを呼びかける」「国連、欧州議会、欧州評議会議員総会、NATO議員総会、OSCE議員総会、GUAM議員総会、諸外国国会に対して、日本の北方領土の地位解決を一貫して支持し、関連行動をとるよう呼びかける」と書かれている。