ゼレンシキー宇大統領、年次教書演説を実施 「ウクライナはEUと世界を強固にしている」
ウクライナのゼレンシキー大統領は28日、最高会議(国会)にて年次教書演説を行い、過去1年の成果と今後の課題について最高会議議員に説明した。
ウクルインフォルムの記者が伝えた(太字は編集部が入れたもの)。また、大統領府は教書演説のテキスト全文を公開した。
ゼレンシキー大統領は、今日はウクライナのことを話そう、皆が過去10か月でどのように変わったか、私たちがどのように世界を変えたかにつき話そうと呼びかけ、ウクライナの団結によって世界の誰もが成し遂げられなかったことを私たちは成し遂げたと強調した。
またゼレンシキー氏は、今年ウクライナが欧州連合(EU)加盟候補国地位を得たことを喚起しつつ、「それは達成の一部に過ぎない。ウクライナはずっと前からその地位を得るにふさわしかった。私たちはそれを知っている。20年前には、私たちはそこにいることができたはず、その地位を得られたはずだった。現在、私たちとあなたたちの達成は、それよりずっと偉大だ。ウクライナは強固にしている。ウクライナは、自由と平和をめぐる戦いによりEUと全自由世界を強固にしているのだ。それは、私たちの外政における過去1年の主要な成果だ」と強調した。
同氏はまた、今年、ウクライナ抜きでは欧州のどのような集団も強くはならないことがはっきりしたと指摘した。
さらに同氏は、過去10か月間、西側が自分を再発見し、どれだけ西側は優位にあるのかを実感するのをウクライナが助けることになったと伝えた。そして、同氏は、「もう西側の誰も、ロシアを怖がっていないし、今後ロシアを誰も怖がることはない」と強調した。
同氏は、「ウクライナこそがEUを団結させたのだ。それは可能であることが判明したのだ! 今では欧州は自分を守っている。欧州は危機を乗り越えている。ロシアが私たちの大陸を破壊するために大量のリソースを割いているにもかかわらずである」と指摘し、ロシアが欧州に対して行おうとしてきたことは全てうまくいっていないと補足した。
同時に同氏は、「私たちの行動はうまくいった。EUは史上初めて、このような大規模の侵略から身を守る支援をしている。EUの複数加盟国は自国法と自国の政治ルールを改正し、今は私たちの国家に軍事支援を提供している」と発言した。同氏はまた、史上初めていくつかの欧州の国は中立の概念を見直し、ウクライナとともに侵略と立ち向かっていると指摘した。
またゼレンシキー氏は、ウクライナの政治家に対して、ウクライナと勝利のために団結を維持するよう要請した。同氏は、「私たちは皆、この議場におり、ウクライナにおり、私たちの人々の中、社会の中にいる。第1項目は、一体性だ。私たちは、どのような個人の感情、個人の利益があろうとも、その一体性を維持せねばならない。一体性とは、私たちに現在社会を強化させるものであり、私たちの国家を強化させるものであり、私たちをともに勝利させるものであり、私たちの長年の歴史の否定的な傾向を変えさせるものである。一体性が強固であればあるほど、私たちとあなたたちと勝利は大きく、迅速となるのだ」と発言した。
同氏は、現在皆が団結の中で平等であるべきだとし、前線では、2月24日以前の古い生活に戻ろうとする政治家のことは理解されないと指摘し、個人の野心は家に置いておき、共通の家を守るために作業をするよう呼びかけた。そして同氏は、「このように残酷な戦争が続く時は、後衛、メディアや、ましてや私たちを支援する外国の首都での個人の政治的なパルティザン活動のための時ではない。お願いだから、私の言葉を最大限真剣に受け止めて欲しい。ウクライナは勝利に向かって進んでいる。何世代もの私たちの人々が夢見てきた勝利だ」と補足した。
また、同氏は、ウクライナの戦後復興は、欧州における最大の経済プロジェクトとなるだろうと発言した。同氏は、ウクライナ領全てが安全の要件を満たすように、インフラ施設、エネルギー施設、社会施設などの再建を必要としていると指摘した。そして、「私たちは、ロシア占領者が2月24日以降に侵入した領土を廃墟から立ち直らせねばならない。同様に、2014年に違法に占領されたドンバスとクリミアにて、当たり前の生活を回復させていこう」と強調した。
同時に同氏は、現時点では復興のための必要な総額を評価することは困難だとしつつ、「しかし、私たちは、戦争の間ウクライナにいた企業や、戦時下にロシア市場から撤退してウクライナへ来た企業のために、復興時の優先(制度)を作らねばならないとは言うことができる」と発言し、「それが公正だ」と強調した。同氏は、重要なのは、そのような企業がウクライナの復興時に機会を得られるような法的枠組みだとして、議員たちに対して、そのような法的枠組みの作成のために大統領府や政府と協力するよう要請した。
その他同氏は、ウクライナは将来、現代的グリーンエネルギーのリーダー国家となると発言した。とりわけ同氏は、都市が数えるほどの大型の発電所に依存している状態は危険だとし、電力源の分散化が必要で、グリーンエネルギーのみがそれを実現できると強調した。
加えてゼレンシキー氏は、ロシアの犯罪を裁く特別法廷と同国がウクライナに対してもたらした損害を賠償させるメカニズムが出来上がることへの確信を示した。同時に同氏は、国際パートナーや国際刑事裁判所とも最大限協力すべきだとも強調した。同氏は、ロシアの殺人者、拷問者、ウクライナに対する侵略を計画し、開始し、実行している全ての人の責任を追求するために、あらゆる国際・国内司法の要素が利用されるし、「占領者のウクライナにおけるいかなる犯罪も判決なく放置されることがあってはならない」と強調した。同氏はまた、それは2月24日以降のものだけでなく、2014年以降、ウクライナ人に対して行われた全ての犯罪に関することだと補足した。同時に同氏は、一国でそれを確保することは不可能だとし、本件につき、パートナー国、特にオランダの「原則的リーダーシップ」につき謝意を表明した。
また同氏は、ウクライナはこれまでロシアから1800以上の自治体を解放することができ、1456人以上の人々をロシアの拘束から解放することができたと報告した。
さらに同氏は、政権は、領土一体性の回復と同時に、戦争によって国外に出て行ったウクライナ国民を帰国させて、社会の一体性も回復しなければならないと強調した。
その他同氏は、ウクライナは現在国際パートナーから最新の武器を得ているが、いずれ世界がウクライナの武器のブランドに関心を持つ時が来るだろうと発言した。同氏は、「私たちは、自らのミサイル、無人水上艇を生産することができる。私たちはもう、装甲車、航空機、その他の武器種を作っている。(中略)ストゥフナ、ヴィリハ、ネプトゥーン、無人水上艇などだ。私たちの国内製造業に感謝しよう」と伝え、ウクライナの軍事産業は、欧州と世界において強力な存在となると強調した。