黒海穀物回廊、7月18日まで継続 ロシアの妨害が課題

トルコのエルドアン大統領は17日、黒海を通じてウクライナの農作物の安全な輸出を保障する「黒海穀物イニシアティブ」の効力が2か月間「延長」されたと発表した。

エルドアン大統領がツイッター・アカウントに書き込んだ

エルドアン氏は、「特に穀物を必要とする国が穀物へのアクセスを得るのを緩和することになる、グローバルな食料供給チェーンの不断の活動にとって極めて重要な意味を持つこの決定が全ての関係者にとって有益であることを願う」と書き込んだ。

同氏はまた、トルコの努力、ロシアのサポート、ウクライナの貢献のおかげで、合意の効力が2か月間延長されることで合意に至ったと伝えた。

さらに同氏は、「私たちは、合意の全ての条件の履行の確保と次の期間におけるその延長に向けて努力を続けていく」と強調した。

その他同氏は、ロシア側はトルコの船舶がウクライナ南部ミコライウ州のミコライウ港とオリヴィヤ港に入港するのを妨害しないと約束したことを伝えた。同氏は、「私たちは、ロシアとウクライナの戦争が最初は恒常的停戦によって、その後は平和によって終わる日が来るのを目にすることを期待している」と書き込んだ。

これにつき、ウクライナのクブラコウ復興担当副首相兼地域発展・インフラ相は、フェイスブック・アカウントにて、黒海穀物合意は2023年7月18日まで効力を持つと伝えた

同氏は、「穀物合意の妨害が解かれ、同合意は7月18日まで効力を継続した。世界は、私たちの合意上のパートナーたちであるトルコと国連の努力のおかげでウクライナの食料品を手にし続ける。私たちは、合意は今後も全ての当事者が署名した条件で効力を持ち続けるべきとするパートナーたちの揺らがず目的に適った立場につき感謝している」と発言した。

さらに同氏は、同穀物合意は3月時点でそもそも120日間、7月18日まで延長されていたのであり、「これまでも有効であったし、今も有効である」と指摘した。

同氏は、同合意によってウクライナはすでに3040万トンの農作物を輸出したと伝えた。

その他同氏は、4月中旬からロシアが黒海穀物回廊の活動を無根拠に制限し始め、5月には実質的に合意を妨害し始め、ウクライナの港へ向かう新しい船舶の登録や、船舶の検査実施を拒否し始めたことを喚起した。

そして同氏は、現在、約70隻の船がトルコの領海にとどまっており、その90%世界にウクライナの農産品を届ける準備のある船だと指摘した。

その上で同氏は、「私たちは、イニシアティブの活動継続を歓迎するが、しかし、その合意は効果的に機能しなければならないことを強調する。そのためには、ロシアがすでに過去数か月にわたって、検査と新しい船舶の登録の拒否によって作り出している問題を取り除かなければいけない」と強調した。

同氏は、同回廊が完全に機能するよう、パートナーたちがあらゆる努力を行うこと、そしてロシアが「食べ物を武器として、脅迫のために利用することを止めること」への期待を表明した。

同日、グテーレス国連事務総長は、ニューヨークにて、黒海穀物回廊合意の継続を歓迎した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

グテーレス氏は、「私たちにはいくつかの肯定的で重要な出来事がある。ロシアによる黒海イニシアティブへの参加のさらに60日間の継続が確認されたのだ。継続は世界にとって良いニュースだ」と伝えた。

また同氏は、未解決の問題もあるとしつつ、しかし「ロシア、ウクライナ、トルコ、国連の代表者はそれを継続協議する」と発言した。

同氏は、自身が3国の大統領に出した書簡に書いたように、同イニシアティブの補完、拡大、継続に関する包括的な合意に最終的に達することを期待していると述べた。

また同氏は、「黒海イニシアティブと並行する国連・ロシア連邦間相互理解覚書の重要英は明白だ。それらの合意は、世界の食料安全保障にとって意味を持つものだ」と強調した。

これに先立ち、2023年3月18日、ウクライナと国連とトルコは、黒海穀物イニシアティブの効力延長に合意していた。この際、クブラコウ・ウクライナ復興担当副首相兼地域発展・インフラ相は、効力は120日間延長されたと述べていたが、これに対して、ロシア側は同合意は同年5月18日まで有効だと主張していた。

5月10、11日には、イスタンブルにて、黒海穀物回廊合意に関する国防次官級協議が行われ、合意の延長には至らず、協議の継続に合意していた。

写真:インフラ省