停戦はウクライナの人々の意志によるものでなければならない=林日本官房長官

日本の林芳正内閣官房長官は11日、ロシアによる対ウクライナ全面侵略につき、ローマ教皇が停戦交渉へ向かうことを呼びかけたことにつき、停戦交渉のあり方などウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかは、ウクライナの人々の意志によるものでなければならないとの見方を示した。

林内閣官房長官が11日午後の記者会見時に発言した

林氏は、「現在もロシアは攻撃を続けており、プーチン露大統領は『併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではない』との趣旨の発言を繰り返すなど、ロシアが和平に向けて歩み寄ろうとする兆しは一切見られない」と指摘した。

そして同氏は、「ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中、あり得べき停戦交渉のあり方など、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきかは、まずもってウクライナの人々の意志によるものでなければならないと考えている」と強調した。

その上で同氏は、日本としての責務は、国際社会が結束して、ウクライナに寄り添った対応を続けていくための外交努力を継続していくことであるとし、「引き続きウクライナに公正かつ永続的な平和を実現すべく、G7や同志国、各国と連携しつつ、リーダーシップを発揮していきたい」と伝えた。

その他、林氏は、ロシアが「併合」を一方的に宣言したウクライナ国内の諸地域でロシアの「大統領選」の期日前投票が行われていることにもコメントした。

その際同氏は、ロシアのこれらの地域の自国領への「併合」は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明らかな国際法違反かつ関連の国連総会決議とも相容れないものであり、決して認められず、強く非難するとの政府の立場を繰り返した上で、「こうした違法な併合に基づいて、これらの地域でロシアがこうした「選挙」を実施することもまた決して認められず、先月のG7首脳テレビ会議の際のG7首脳声明においても、この旨確認したところだ」と伝えた。

なお、G7首脳は2月24日付共同声明にて、「私たちは、ロシアがウクライナ領で行ういわゆる『選挙』は、過去も未来も、認めることもないし、その結果も認めない。ロシアはウクライナの諸地域で大統領選挙の投票を実施する意向を表明しているが、それはウクライナ主権を侵害する暴挙である」と表明している

これに先立ち、バチカンのローマ教皇がスイスのテレビ局「RSI」でのインタビュー時に、ロシアの対ウクライナ戦争に関して、「白旗を揚げる勇気を持つ者が強い」と述べて、ウクライナに協議を呼びかける発言を行っていた。

その後、バチカンのブルーニ報道官は、教皇の「白旗」との表現は、記者に提案されたものであり、軍事行動の停止、停戦を意味するものだと説明していた。その際同氏は、教皇はウクライナの人々を支持しており、全ての当事者に「公正で永続する平和模索をする上で外交的解決のための条件を作る」よう呼びかけたと伝えた。さらに同氏は、教皇自身が同インタビュー時に「協議は決して降伏ではない」と述べたことも補足している。

​​ウクライナのゼレンシキー大統領は10日、ロシア軍が欧州を前進できていないのは、ウクライナの人々が青と黄のウクライナ国旗の下で武器を手にしてロシア軍を食い止めているからだと発言している