フィツォ・スロバキア首相の激しい発言は政権維持のためのポピュリズム=専門家
ウクライナのアンドリー・ヴェセロウシキー国家戦略研究所所長顧問(元外務次官、元駐ケニア大使)は30日、スロバキアのフィツォ首相のウクライナに対する激しい発言は、スロバキア国内に向けたものであり、政権維持の願望からくるものだと発言した。
ヴェセロウシキー氏がウクルインフォルムにコメントした。
ヴェセロウシキー氏は、「フィツォ氏のそのような言動の理由は多い。しかし、何よりも理由は、与党が現在議会の多数派を維持しようとしており、その政権の首相がスロバキアを率いていることにある。そのため、スロバキアの首相は、政権に残るために、自らのイメージを常に気にして、世論に影響を及ぼさなければならなくなっている」と発言した。
同氏はまた、フィツォ氏はスロバキア政治における新しい人物ではなく、以前にも首相になったことがあるが、しかし、2018年の調査報道記者の殺害の後に生じた大規模抗議の後に辞任せざるを得なくなったと喚起した。
そして同氏は、「つまり、彼の背後には、複雑な政治的・社会的軌跡があるのだ」と指摘した。
また同氏は、フィツォ氏は、ウクライナに対して、スロバキアが安価な天然ガスを剥奪されると訴えているが、しかし、それはロシアの対ウクライナ全面侵略の開始後にスロバキアを含む欧州連合(EU)全体で採択された決定にしたがって生じるものだと説明した。さらに同氏は、ウクライナは2025年1月1日のはるか前に、ロシアとの天然ガスユソウ契約は延長しないと伝えていたと指摘した。
そして同氏は、「つまり、スロバキア首相の発言に対する反論はあるのだが、しかしスロバキア国民はキーウで話されていることでなく、フィツォ氏が話すことを聞いている。スロバキア政府の影響の強いメディアは、キーウの声は伝えない。そのため、フィツォ氏が自国では『果敢に』ウクライナを叱り、私たちに対して全くもって思いつきのクレームを表明しておき、他方で、ウクライナの政権高官、とりわけデニス・シュミハリ首相と会う時には、ビジネスライクに話をしているのだ。つまり、彼はウクライナの体系的な敵ではなく、彼はスロバキアの体系的なポピュリストなのだ」との見方を示した。
フィツォ氏の発言に対して、EUはどのように行動するべきか、との質問について、ヴェセロウシキー氏は、EUは「すでに行動している」と指摘した。
その際ヴェセロウシキー氏は、「フィツォ氏は、1か月あまり前にウクライナに対して、言葉は違うが、似たような非難を浴びせていたが、欧州委員会は、スロバキア政権に対して、冷静かつ明確に、ロシアの天然ガス輸送停止に備える次官は十分にあると伝えていた」と喚起した。
そして同氏は、ウクライナに対する非難は「スロバキア国民の視点ではなく、捏造であり、何とかして自分たちの権力を維持しようとする試みである」と説明した。
これに先立ち、フィツォ・スロバキア首相は12月22日、モスクワを訪問し、プーチン氏と会談していた。
フィツォ氏は、自身の訪問は、ウクライナが自国領を通じたロシアの天然ガスの欧州への供給継続を拒否していることへの対応だと主張していた。
今年、ウクライナの「ナフトガス・ウクライナ」社とロシアの「ガスプロム」社の間で締結されていたウクライナ領を通じたロシアの天然ガスの通行契約が終了する。
シュミハリ宇首相は、2025年1月1日に終了するウクライナとロシアの間の天然ガス輸送の契約は、継続されないと発言していた。
ゼレンシキー大統領は、ウクライナはロシア産の天然ガスでなければ、欧州の国々に対して天然ガスを輸送する準備があると発言している。
ウクライナ外務省は23日、フィツォ首相が、EUの政策に反する形で、ロシアからのエネルギーへの依存を維持しようと熱心に試みていることにつき、驚きを表明していた。
写真:EPA/UPG