ウクライナの10の検疫方策
ウクライナは、新型コロナウイルス感染(Covid-19)拡散脅威の対策として、厳格な検疫方策を導入し、同時に国内経済のための刺激政策も採択した。
3月18日時点で、ウクライナ国内にて確認されているCovid-19事例数は14件、内2件が死亡事例である。この拡散拡大の脅威に対して、最高会議(国会)は、緊急に複数の危機対策法を採択した。目的は、Covid-19のウクライナ国内への拡散を防止しつつ、国内経済を支援することである。ウクライナでは、被占領地を除く全土で大規模な検疫方策が導入された。この方策は、3月17日から、暫定的に4月3日まで続くと発表されている。
検疫方策の内容は、以下のとおり。
1.国境封鎖
ウクライナは、3月16日午前0時00分から、107の国境通過検問地点の業務を停止した。クリミアとの行政境界線上とドンバス被占領地とのコンタクトライン上の通過検問地点も含まれる。49の通過検問地点は、現在も稼働しているが、徒歩による越境は認められていない。
2.外国籍者・無国籍者の入国制限
外国籍者と無国籍者のウクライナ領への入国が一時的に禁止された。例外は、恒常的・一時的在留許可を有する者、ウクライナ国籍者の配偶者や子息、貨物輸送を行う運転手と輸送従事者、乗員、国際ミッション、外交代表部、諸機関の代表者とその家族である。
国境封鎖開始までに帰国できなかったウクライナ国民は、各国のウクライナ大使館・領事館に連絡を取らなければならない。
国際旅客輸送定期便は停止した。
3.国内移動の制限
ウクライナ全土にて、航空便や、都市間・州間・州内の鉄道・バスの移動が停止された。キーウ(キエフ)〜ボリスピリ空港間特急や各都市地下鉄も運行を停止している。鉄道駅は、閉鎖され、購入済み切符の払い戻し窓口のみ営業している。鉄道駅舎には、10名以上の人の同時に入ることはできない。
市内の交通機関は稼働しているが、乗客は最大10名までに制限されており、マスクの着用が要求される。
4.遠隔業務
一般企業の従業員の多くは、遠隔業務に移行している。
5.サービス分野の制限
ウクライナ全土で飲食店が営業を停止(ただし、レストランやカフェは配送サービスで食事を提供することが可能)。また、ショッピングセンター、教育施設、美容関連施設、スポーツ施設、コンピュータークラブなども営業を停止。営業を続けているのは、食料品店、薬局、ガソリンスタンド、銀行、郵便局である。
6.大規模集会開催禁止
文化、スポーツ、社会、宗教、その他の大規模行事は、開催できない。
7.検疫方策ルール違反の罰則
一部検疫方策と衛生・規範ルールの違反には、罰金の支払いが適用される(1万7000フリヴニャ以上)。
8.ビジネスのための危機対策方策
国民は、検疫方策実施期間中、住居・公共サービス未払いに対する罰金が免除される。また、消費者融資契約による責任も免除となる。全ての形態の企業は、税法違反、統一社会貢献税の未払い・支払い遅延の罰金が免除される。土地税、不動産税などの支払いは、2020年4月30日まで免除される。個人経営者は、2020年4月30日まで統一社会貢献税の支払いが免除される。また、2020年5月31日まで、税務調査実施の猶予が発表されている。
9.国家調達における危機対策方策
Covid-19対策に必要な製品・業務・サービスの調達は、簡素手続きで実施され、電子調達システムを通じて行わなくても良い。
10.医薬品関連危機対策方策
欧州連合(EU)加盟国にて登録された医薬品であれば、ウクライナ国内でも簡素手続きで登録することが可能。