EUの偽情報モニタリング:露は米国の信頼失墜を狙う偽情報拡散
ロシアのプロパガンダメディアは最近、米国の国際社会における信頼を低める目的で偽情報や「イギリス人が世界を支配している」などという陰謀論を拡散している。
欧州連合(EU)の欧州対外行動庁偽情報対策チーム「EUvs偽情報」が過去数週間のロシア発信情報の分析報告書を公開した。
報告書には、ロシアのプロパガンダメディアが引き続き、無根拠な「理論」や思いつきの「引用」を用いながら、米国を「世界の悪党」とするイメージを広めていると指摘されている。
例えば、ロシア国防省のアンドレイ・イリニツキー報道官は、雑誌「軍事思考」にて、「ロシアに対する精神戦争」を展開しているとして米国を非難し、その際、ジョージ・ブロック・チザム世界保健機関(WHO)初代代表の発言だとして「世界の支配に至るには、人々の意識から、彼らの個人主義、家族的伝統への忠誠、民族的愛国心、宗教的ドグマを取り除かなければならない」とのフレーズを紹介しているが、実際にはチザム氏はそのようなは発言は一度もしていないのだという。
また、報告では、親クレムリンメディアが「米国は英国の傀儡」という陰謀論を活発に広めようとしていると書かれている。例えば、ロシア政府が管理するロシアの国外向けニュースサイト「スプートニク」が、「英国が米国の大統領を任命している」などといった内容を発信しているという。報告書には、国外の視聴者をターゲットにするロシアの英語放送「RT」から、国内読者向けの「モスコフスキー・コスモレツ」が批判されている。
報告書にはまた、スプートニクが、ウクライナで1932〜33年に引き起こされた人為的大規模飢餓「ホロドモール」は、「英国人によるロシアの信頼失墜の試み」だと形容しているとし、その際、「ホロドモールは英国のスパイが思いついたコンセプト」であり、実際にはソ連政府は1932〜33年、「人々を飢餓から救うためにありとあらゆる可能なことを行った」と主張されていると書かれている。