ドミトロー・クレーバ・ウクライナ外相は、長引く戦争への疲れは避けられないが、しかし同時に、ウクライナ人とパートナーたちはそれを克服できると考えている。彼は、ウクルインフォルムへのインタビュー時、自分がウクライナの勝利を信じる上での非常に説得ある証拠を示した。
外相はまた、どうしてウクライナはまだベラルーシと国交を断絶していないのか、ロシア政権幹部を対象とする特別法廷の設置に向けどのような障害があるのか、ハンガリーはクレムリンの手先なのかなどについて話した。
聞き手:ナジーヤ・ユルチェンコ、オレクサンドル・ハルチェンコ(キーウ)
写真撮影:ヘンナジーヤ・ミンチェンコ
プーチンは、ウクライナではミサイルで、欧州ではガス価格とインフレとプロパガンダで戦っている
外相、まずはロシアによるオレニウカのウクライナ人捕虜の凄惨な処刑の話から始めましょう。あなたは、国連に対して、この犯罪のあらゆる事実を確立すべく収容所を訪れるよう要請しましたし、国際赤十字委員会(ICRC)にはウクライナ人捕虜全員を確認するよう求めましたね。私たちは、国連とICRCの反応を把握しています。今後、どうなるのでしょうか。捕虜の命の保護を保証するはずだったこの国際機関は、彼らの死と、残りの拘束されている2000人以上のマリウポリ防衛者の安全への自分の間接的責任を認識しているのでしょうか?
たとえ彼らのウクライナ国民に対する責任感が鈍っていたとしても、オレニウカの出来事がそれを激しく研ぎ澄ませるきっかけになったでしょう。私たちは、そうなるように最大限のことを行いました。
その悲劇的な日にウクライナから発信された声明は全て、感情的な内容ではなく、国際機関に、自分たちの基本的な役割を履行せよと呼びかけるものでした。私たちは、ウクライナ軍人に対する蛮族的処刑の独立した捜査を要求しており、その卑劣な犯罪を行った一人一人の人物を罰すつもりです。
皆が仕事をし、できることを行わねばなりません。私の情報では、その2つの国際機関は「目を覚まし」ており、方策を取り始めています。しかし、実際のところは、ロシア連邦のアクセス許可なくしては、彼らには自らのマンデートを履行するのは困難です。彼らは、オレニウカ強制処刑現場へと辿り着くことができていません。
そのため、現在私たちは、情勢の展開を追っており、状況を正しい方向へと向かわせ続けています。
8月、西側のパートナーたちは、いつもの夏休みに入ります。しかし、私たちのところでは戦争が続いています。ウクライナには、この期間のための外交的、軍事的な備えがありますか? もしかして、あなたは外交官たちに何らかの「夏の課題」を出していたりしますか?
ウクライナの外交官は、どこで勤務していようが、8月の夏休みは取りません。大使やその他の外交官たちに出されている課題は、非常に明確です。欧州委員会の委員含め、欧州の外交官は、たとえビーチにいようが、欧州におけるロシア侵略への対抗を行わねばなりません。なぜなら、この戦争は、私たちに対してだけではなく、欧州に対しての戦争でもあるからでです。単に、プーチンがウクライナではミサイルで戦っているだけであり、彼は欧州でも、ガス価格、インフレ、プロパガンダで闘っているのです。
そのため、全てのウクライナ大使は、どこで休暇を取っていようが、必要となれば電話をするなり、パートナーたちのところへ行くなりしなければなりません。相手の電話の電源が切られていたとしてもです。
ロシアは初秋に一時的占領地において(いわゆる)「住民投票」を予定しています。米国は、それらの地が併合される場合、パートナー国とともに「迅速かつ強固な」対応を準備していると発表しました。あなたは、その対応はどのようなものを望んでいますか。
昨年秋、ロシアの侵略の新たな波の可能性が話し始められた時、私たちのパートナーは、米国も欧州の国々も、「ロシア人よ、やってみると良い、あなたたちには消し去ることのできない多大な結果が待つことになる」という立場を取っていました。総じて、そのロジックがロシアを「その警告はいずれも真剣に受け止めなくて良い」という決定に至らせたのです。それだけではないものの、それもまた、ロシアに対ウクライナ侵略へと踏み切らせた一つの要因でした。
そのため現在、私たちもパートナーたちに対して、ロシアの行動に備えておいて、(後で)対応する、というのでは駄目だと伝えています。ロシアに何もさせないように毎日仕事をしなければいけないのです。「住民投票」実施も、侵攻も、何でもです。ロジックを変えなければいけない。
私たちは、ウクライナに続き、米国が最初に世界でその「住民投票」の問題とその準備についてとても大きな声で話し始めたことにつき、感謝しています。しかし、レンズを変えなければならない。(起こり得る)結果を伝えて脅すのではなく、防止のために努力すべきです。
ちょうどインタビューの前(質問者注:インタビューが行われたのは8月1日)、私たちは長い電話会談を行いました。会談フォーマットは、ウクライナ側はアンドリー・イェルマーク(大統領府長官)、私、ヴァレリー・ザルジュニー(軍総司令官)、米国側はジェイク・サリヴァン(大統領補佐官)、アントニー・ブリンケン(米国務長官)、ミリー将軍(統合参謀本部議長)でした。私たちは、ウクライナの新たな占領地を実質的に併合してしまおうというロシアの意図と、そのシナリオをどう予防するかについても話し合いました。
ウクライナの国家性の日(7月28日)にベラルーシ領からウクライナへとミサイル攻撃があった後、社会では、ベラルーシとの外交関係の断絶の時が来ているのではないかという疑問が再び浮上しました。類似の示威的行為の後の外務省のこの件に関する立場はどのようなものですか。
私は、2月24日の夜、ベラルーシ領からウクライナへの侵攻が始まったことをよく覚えています。ベラルーシ人はそれまで、ベラルーシは私たちに対する脅威を一切生み出さないと誓っていました。
私たちには、ベラルーシに関する幻想はありませんし、何が起きているかについてや、ルカシェンコに、何かしらの決定を採択させるような追加的口実を与えないにはどうするかについて、冷静な分析をしています。
すでに公の場で述べてきたことですが、私の立場は変わっていません。それは、ベラルーシ軍がウクライナ領に入ってきたら、私は速やかに彼らとの外交関係断絶の提案を送付する、というものです。
それから、ベラルーシ領から砲撃が行われていることに関しては、私は、それを祝日と結びつける意味はないと思っています。ベラルーシ領空にはロシアの爆撃機が飛んでおり、それらが時に単に訓練を行い、時に攻撃してくる。それが私たちの毎日の現実です。
そして、もう一度強調したいことは、ベラルーシが対ウクライナ侵略犯罪の共犯者であり、そこには一切疑いの余地がないことです。そのため、彼らは一切正当化ができません。
ロシア軍がウクライナの国境を越えるよりはるか前にロシアは欧州を攻撃し始めていた
あなたは、数か月前に、西側に対してウクライナの勝利が戦争の結果にならねばならないとする考えを受け入れるよう呼びかけていましたね。あなたは、本件について何らかの進展を見ていますか。あなたは、どうして西側が私たちの勝利を想像するのが困難なのだと思いますか。
ええ、私は、正しい方向への進展を見ています。彼らにとってそれを進めることが難しいのは、次の2つの理由からです。1つ目は、欧州の政治全体が、双方が何らかの利益を得るという「ウィンウィン」のアイデアのもとに築かれていることです。相互の利益に基づいた合意は概して、より安定し、長続きするものになります。
2つ目ですが、ウクライナに対して良くしてくれている人でさえも、ロシアが敗北するという考えが頭に浮かばないのです。「ロシアはあんなにも大きい、あんなにも強い、国連安保理常任理事国で核兵器のボタンもある、ドストエフスキー、バレエもある…そのロシアの敗北がどうなったら起こり得るのだ?」と思ってしまうのです。
そこで、想像してみて欲しいのですが、あなたが、ある政治スクールで育って、ずっと「ウィンウィン」という考えを基本に政治を築いてきたとします。あなたには、ロシアのイメージができあがっており、そのイメージとともに人生を過ごしてきて、それに基づいてキャリアを築いてきた。そんな中で、あなたのところへウクライナがやってきて、「ウィンウィンなんて全然だめだ。まず、ウィン・ルーズであるべきだ。それから第二に、それら全ての作家やバレエは関係ない、私たちは、私たち皆を殲滅しようとしている絶対的蛮行国家と欧州の境目で事を構えているのだ」と言うのです。
あなたがそのような欧州の多くの政治家の立場になった場合、あなたも最初は私を信じることはなく、反射的に反応するのではないでしょうか? しかし、コミュニケーションを取る時に最も重要な課題は、深層にある認識を変えることなのです。
ですから、西側が見方を変えるには、一定の時間が必要です。残念ながら、ウクライナ領でロシアによるさらなる犯罪が花開いた後になって、彼らの間で最も急激な変化(編集注:ロシアとウクライナに関する認識の変化)が起きています。
私たちが西側との対話の際に示せる、ウクライナの勝利、ロシアの敗北のメリットにはどのようなものがあるでしょうか?
欧州では、ウクライナに対するシンパシーのレベルは非常に高いです。同時に、ウクライナに良くしてくれている人々の頭の中にも、「ロシアはウクライナだけを襲った」というイメージができあがっています。私たちは、彼らにも、他の人たちにも、「ロシアは欧州を襲った、しかも2月24日の武力でウクライナ全土の国境を越えるよりはるか前に襲った」のだと説明しています。
欧州におけるガス危機は、昨年年末に始まりました。キーウへと最初のロシアのミサイルが着弾するよりずっと前に、ガス価格が跳ね上がっていました。欧州におけるエネルギー危機やインフレの原因は、ロシア連邦の行動にあるのです。
そのため、それが包括的な攻撃であり、ウクライナを支援するということは、慈善行為なのではなく、彼らにとっての自分の未来、自らの安全への投資なのだということを欧州の人々が理解しなければなりません。欧州の人々は、2月24日まで、プーチンとずっとじゃれ合うことでこの問題を解決しようとしていました。「こういうことや、ああいうことをしてみませんか」という、あの果てしない対話のことです。プーチンは、皆を騙した上で、顔に唾をかけたのです。2月24日にそのことがはっきりしました。しかし、もう次の段階に来ています。自らの安全と繁栄を守る唯一の手段は、ロシアを別の形にすることだ、という事実を受け入れる段階です。その「異なるロシア」は、ウクライナの戦場での同国の敗北を通じてのみ実現できるものです。
そのため、皆にとってのメリットは非常にシンプルです。私たちが勝ち、領土一体性を回復することは、欧州が大陸における悪夢の源泉を取り除くことになる、ということです。
欧州のパートナーたちの今の気分からして、ロシア首脳陣のウクライナにおける戦争犯罪を裁く特別法廷設置のアイデアを実現することは現実的ですか。
法廷のテーマは、剥き出しの神経のようなものです。どのような立場であっても、カモフラージュされるか、ぼやかされる可能性があります。しかし、(特別)法廷を支持するか否かにかかわらず、本件は、ウラジーミル・プーチンが犯罪者であること、彼に何万もの人々が死ぬことになった命令への責任があることが確認される判決の話です。
隠さずに言いましょう。彼らが恐れているのには理由がいくつかあります。政治的な理由の中には、1945年以降、そのような事例はニュルンベルグと、欧州の首脳を戦時下の犯罪で裁いたミロシェビッチ(ユーゴスラビア元大統領)に対する裁判の試みの2つしかない、という事実があります。他国の首脳を裁くというプラクティスは、実際、非常に脆弱です。
第2には、私たちも属している、国際刑事裁判所(ICC)「ファンクラブ」の存在です。同裁判所の憲章には、同裁判所が裁ける犯罪の1つに「侵略」が入っていると記載されています。しかし、実際には、全くもって司法的な理由から、同裁判所はその条項をウクライナとロシアの事例に適用することはできません。
私たちのパートナーたちは、「(新たに)法廷を作る必要はない。なぜなら、ICCがあるからであり、その代わりを作ってはいけない」と言いますが、それに対して、私たちは、「待って欲しい。一切の代替を好まないICCの利益と、ICCの存在理由である正義と、どちらが大切なのだろうか?」と返しています。彼らは正義も支持すれば、ICCも支持しているために、その点で彼らには混乱が生じるのです。
より短く言えば、機構的エゴイズムの問題がICCそのものにも、特別法廷設置においてもあるわけです。しかし、私たちはその点につき作業を行っており、結果は出せると思っています。私たちは、全ての国と機関に対して、対ウクライナ侵略犯罪に関する特別法廷の設置を支持するよう呼びかけています。罪は犯されている。であれば、その罪は罰せられねばなりません。
本件の次の行動はどのようなものとなりますか。
法廷設置のためには、前述の障害を取り除かねばなりません。現時点では、その2つの障害が残ったままです。
ハンガリーの発言とウクライナ関連の決定の中身が一致していない内は共存・協働は可能
ハンガリーについて話しましょう。私たちとハンガリーの関係は以前も複雑でしたが、最近のオルバーン・ヴィクトル(ハンガリー)首相によるロシアの対ウクライナ戦争関係の発言を受けて、その関係はどのようなものになるでしょうか。ハンガリーのことをEUやNATOの中の第五列(編集注:敵対勢力の中に紛れ込む諜報部隊)とみなすことは可能ですか?
私は、ハンガリーは自分自身にとっての第五列なのだと思っています。あれは彼らの国内政治であって、ハンガリー国民が、それが自分たちの利益にどれほどかなっているのか、理解すべきことです。
私は常にはっきりと述べてきましたが、発言が不快だったり感情的なものであっても、発言と決定とは別物です。ハンガリーは対露制裁に加わっています。私たちは、EU内部の議論において、ハンガリーは、いくつかの潜在的な制裁を妨害しているのを見ています。しかし、今のところ、それは、ハンガリーのせいで何らかの著しい行為が生じた、と言えるような、危機的なレベルにまでは達していません。ハンガリーはまた、ウクライナへのEU加盟候補国地位の付与も支持しました。
つまり、ハンガリーの声明が、ウクライナ関連の決定と一致していない内は、一緒に共存、協働は可能なのです。もし、彼らの発言が行動と一致し始めたら、その時は問題となります。
もう1つ、私たちの一義的でないパートナーがトルコです。エルドアン・トルコ大統領は最近、プーチン露大統領とのコンタクトを活発化させています。彼らは、7月19日にはテヘランで会談し、8月5日にはソチでの会談も予定されていますし、そこでは、ロシア側の情報によれば、軍事技術協力が協議されるそうです。私たちは、このような背景がある中で、トルコに対して、和平問題や穀物輸出問題における、理想的なパートナー、偏見のない仲介者として期待を寄せても良いのでしょうか。
具体的にバイラクタルについての話でしたら、複数の理由から、トルコがそのシステムをロシア連邦に供給する状況を想像するのは、私には困難です。
仲介者の役割一般に関してですと、トルコと国連の穀物問題の仲介は、いくつかの困難がありつつも、機能しました。今後も機能することを期待しています。
トルコが現在発信している、穀物合意はウクライナとロシアの間のさらなる広範囲の合意のための前提条件だ、というようなさらに理想的なシグナルについては、私はその楽観主義を共有していません。
穀物合意遵守は、あなたはより楽観的に見ているのですか?
合意がすでにある今、ロシアが何らかの形で気付かれないように攻撃することは非常に困難です。その場合、完全な責任がロシアに向けられることは間違いないからです。ロシアは、過去数か月、ロシアが世界を食糧危機から救っているという「神話」へと非常に多くの投資をしてきたのであり、現在自分のミサイルでその神話を爆撃することは困難なのです。
しかし、正直に言えば、彼らの頭の中にはゴキブリが這っているのであり、彼らが本件にて完全に合理的に考えているということに、100%の確信を持って署名することは私はしません。
ウクライナの食糧輸出は、世界を飢餓と物価上昇から救います。ウクライナは常に理想的なパートナーでしたし、私たちは、ロシアの戦争と封鎖があろうとも、その地位を維持するために最大限の努力をします。最初のウクライナの輸出食糧を載せた船は、中近東とアフリカとアジアの全ての私たちの友人への「私たちはあなた方を放っておいたりはしない、私たちはあなた方の家族を、ロシアが引き起こそうとした飢餓から救う」というシグナルなのです。
第2回クリミア・プラットフォームでは、クリミア脱占領を促進するあらゆることが協議される
プーチンは最近、新たな海洋ドクトリンを確定させました。そこでは、とりわけ、黒海を「ロシアの国益圏」と名付けていますし、そこでのロシアの地政学的立場を包括的に強化する計画も発表しました。これは、単なる大きな発言なのか、それともウクライナだけでなく黒海地域のその他の国々にとっても脅威なのか、どちらでしょうか。
私が誤っていなければ、彼らは以前、彼らの国益はロシア語の聞こえる全ての場所にある、と述べていました。彼らの世界地図では、黒海の魚たちもロシア語を話すのは明白であり、彼らを守らねばならないのでしょう(笑顔)。
それは、ロシアの言葉遊びです。それが彼らの国益圏であるのはわかったことです。私たちは、そこで彼らの巡洋艦を撃沈させたのであり、そのドクトリンの有無は邪魔にならなかったのです。
黒海情勢は第2回クリミア・プラットフォーム首脳会談の議題となりますか?
8月23日のクリミア・プラットフォーム首脳会談は、客観的理由から、オンラインで開催されますが、そこでは、クリミア脱占領の外交的努力の部分を促進するあらゆることが議論されます。私たちは、クリミア・プラットフォームの昨年の立ち上げ首脳会談に出席した全ての参加者を招待しますし、その他のパートナーたちも8月23日にオンラインに加わるように招待します。それは、国際法を守り、世界の平和と安全を維持するという問題なのです。
重要なのは、クリミア・プラットフォームの発展ダイナミズムを途絶えさせないこと、首脳会議を2つの理由から開催することです。
戦争が続いているし、首脳会談は延期可能だと思いますか? しかし、私たちは、非常に明確なシグナルを送りたいと思っています。そんなことは起こらないのですが、仮に、敵が再びキーウ郊外に現れたとしても、それでも私たちはクリミア脱占領を計画していくでしょう。
次のことを理解することが非常に大切です。何があろうと、どんなに困難であろうと、私たちは、私たちが自らの領土を脱占領する時が来るということを常に戦略的に考え続けなければならないのです。クリミア・プラットフォーム首脳会談とは、正にそのことについてのシグナルです。私たちが「さすがにクリミアまでは」とか「さすがにリシチャンシクまでは行かない」とか、その他の現在一時的に占領されている町「〜までは行かない」などと述べるようになる瞬間は、今後の歴史の中で訪れないのです。これは外交の話ですが、私たちはこのように話しています。
2つ目の、どうして首脳会談が今こそ重要かという理由です。なぜなら、いくつかの国の首都では、いまだに非公式に「クリミアは、もちろんウクライナだが、しかし、あなた方はクリミアは特に慎重になった方が良い、なぜならそれはロシアの剥き出しの神経だからだ(編集注:ロシアを激昂させる、の意)」などというナラティブがあるからです。そのため、私たちは、もう一度「クリミアはウクライナであり、私たちはクリミアにつき、私たちが望むことを全て話し、望むことを全て行っていく」ということ確実なものとしたいのです。それは原則的なことです。
どれほどのパートナーが、その言説と私たちの目的を支持する準備がありますか。
まさにクリミア・プラットフォーム首脳会談がそれについても示すことになります。
戦争は、ウクライナ機のテヘラン上空での撃墜の悲劇を若干追いやりました。イランは、1月初めに、ウクライナ国際航空PS752機事件調整犠牲者支援国際グループによる、賠償金問題協議参加の提案を拒否しました。ウクライナ外務省は、それ以降、テヘラン近郊の航空機撃墜事件についてイラン側と接触しましたか。それとも本件は、戦争が終わるまで延期になっていますか。
私たちは、何も延期していません。しかし、私は、現在その国際グループとイランの間に何からの活発な協議プロセスがあるとは言えません。戦争は、全てかき混ぜてしまい、優先課題を変えました。しかし、私たちは、その問題を忘れていませんし、停止もしていません。それも、間違いなく、解決されます。
遺憾ながら、しかし、ウクライナにおける戦争は徐々に世界の新聞の一面から後退しています。ウクライナを彼らの焦点に残すために、西側社会とのコミュニケーションにおいて、何かを変えることは可能でしょうか。
それは心理の法則です。人は、あらゆることに慣れるものであり、例えば、侵攻の最初の24時間にショックだったものも、すでに普通のことになってしまっています。私たちすらも、戦争の中を生きることに慣れてしまっています。西側社会も、戦争が続いているという事実とともに生きることに慣れたのです。
一面に戻すのは、2つの手段によってのみ可能です。大勝利を収めるか、大敗北を喫するかです。その2極の間にある全てのことは、抽象的に言って、2面か3面に掲載されるのでしょう。
私たちは、大勝利に向けて仕事をしていますし、ロシア人も私たちの大敗北に向けて活動しています。しかし、私は、1面を飾るのは私たちだと思っています。
現在ウクライナはアフリカ大陸のゲームに参戦しようとしている
大臣は、ウクライナとアフリカ大陸の関係を活性化させる一環で、アフリカ諸国への訪問を発表しましたね。しかし、あなたのアフリカ訪問は、ラヴロフ露外相がそこへ周遊した後となります。あなたの今回の訪問からの期待は何でしょうか。どうなれば訪問が成功したとみなしますか。
仮に、ナラティブを広めるのに一回の訪問だけで良いのであれば、ウクライナはとっくの昔に、ハイマースのような局地的で強力な訪問によって、皆に勝利していたでしょう。ナラティブのためには、長期的に働かなければいけません。
ラヴロフは、受け入れの観点から彼にとって快適なアフリカの国々を訪れました。その訪問が成功したと認めるだけの根拠はないですし、私は、彼が訪問にとても満足しているとは思っていません。しかし、彼らが私たちの行動にそういう形で対応したということ、私たちがアフリカについて話し始めた途端、ラヴロフ氏が飛行機に駆け込み、周遊へ出発したということは、彼らが緊迫感を抱いて頑張っているということを意味します。そのままやらせて、私たちの後ろを追わせて、私たちのナラティブに打ち勝つための努力させておきましょう。
第二に、ロシアは、アフリカでソ連時代からの一定のナラティブを維持しています。私の訪問がワンクリックで全てのロシアのナラティブを倒すことができないのと同様に、ラヴロフも私たちのナラティブを倒せません。これは長いゲームなのですが、プレイしなければならないゲームです。大切なのは、今、この悲劇的な2022年に、ウクライナがアフリカ大陸におけるゲームに参戦することなのです。
昨年末、私たちはアフリカ戦略を採択しました。現在、大統領がアフリカの同僚と話していますし、私も話しており、周遊の準備をしています。私たちは、アフリカ方面に入りますし、議会外交も始めます。つまり、私たちはウクライナの国益を防衛するために、全面的に前へ進んでいます。
外務省は、人々を封じ込めて時々シャッフルする缶詰のような場所ではない
人事について聞きます。大統領は7月初旬、ドイツ、ハンガリー、ノルウェー、チェコ、インドの、6月末にはイラン、ジョージア、スロバキア、ポルトガル、レバノンのウクライナ大使を解任しました。その解任の理由につきコメントしてください。交代ですか、それとも非効率が理由ですか。
完全に交代です。私は、同僚たち皆に、海外勤務数年間後に順番に従って大使を解任する以外に、他のアプローチは私にはないことを率直に伝えました。
解任された大使を全員見てください。誰一人、任国での勤務が4年未満だった人はいません。ある大使は7年半も働いていました。私は、このシステムの中で育ちましたし、彼らのへ敬意を持って言いますが、7年間も外国で働いて、祖国、自国の感情と離れ離れになり続けるのは不可能です。そのために交代制度が考え出されたのです。
私は、大使の中には、帰朝に抵抗がある人もいることは理解しています。だから、「私は英雄だ」「私抜きにはこの国との関係は壊れてしまう」と言いたがります。それが示すことはただ一つ、そのような人物は2年前には変えておくべきだったということです。
もう1つの私が大使の解任を提案し得る際の理由は、仕事で大失敗をした場合です。しかし、それは稀なケースです。なぜなら、基本的に私たちの大使は効果的に仕事をしており、過去5か月、多くの課題を大使たちは効果的に遂行したことを示してきたのですから。
海外勤務のウクライナ大使の空席は今いくつですか。
多いです。約20です。
イリーナ・ヴェネジクトヴァ前検事総長が駐スイス・ウクライナ大使になるかもしれないという非公式情報がありました。あなたはそれを認めますか。
ええ、私は、ヴェネジクトヴァ氏の駐スイス大使への任命の提案に署名しました。
あなたは、一般に、外交的ポストに政治的任命をする慣習をどう思っていますか。
そのような慣習はどの国にも常にあったことで、今もあり、今後もあることです。大使は、ある種の要件を満たしていなければなりません。私のところに時々、どこからともなく人がやって来て、「大使になりたい」と言うのですが、そういう時私は「わかった。しかし、このような理由で、私には、この仕事はあなたに向いていないと思う」と言います。ただし、時々私は、その「どこからともなく」の人が、確かに大使になれると気付く時もあります。その場合に、その人を採用しない理由があるでしょうか。
外務省は、人々を封じ込めて時々シャッフルして、内側で私たちが居場所を変えているだけの缶詰のような場所ではありません。新鮮な血を入れなくてはならない。新鮮な考えや見方が必要なのです。
大統領は常に彼にとって優先的な国の(大使)候補を見ています。私たち、イェルマーク大統領府長官、私、シビハ大統領府副長官(外政担当)は、常に人を探しています。もう一つの点は、選考は非常に丁寧に行われていることで、10人の案があっても1人になったりします。しかし、外から人をシステムの中に入れる時には、それは全く普通のことです。大使の機能を効果的に実行できる能力が必ずないといけません。
私は、ヴェネジクトヴァ氏は、その能力があると思います。彼女の過去数か月の国際パートナーとの活動は、まさに彼女が国際方面でも活躍できることを示していました。
あなたは以前、戦時下では、クラシックな外交の手法は必ずしもいつも効果的なわけではないと述べていましたね。駐独ウクライナ大使であったアンドリー・メリニク氏の実践していた「攻撃的」外交手段は、うまくいっていたのでしょうか。
個別の大使の話はやめましょう。私は大臣として、クラシックな手段やその他の手段でウクライナに結果をもたらしている一人一人の大使を評価しています。私にとって、武器を引っ張ってきたり、制裁を確保したり、原則的課題を履行したりする大使は皆「スター」です。
あなたは、開戦前とその後に、ほぼ全ての記者会見の終わりに、「ウクライナを信じてください」と述べていましたね。あなた個人がウクライナを信じる根拠、楽観的でいられる根拠は何ですか?
2月24日以降のある段階で、私は、自分にとって最も困難な決定を下さねばなりませんでした。それは、自分の子供をウクライナに戻すか否か、です。私は、ウクライナに戻りたがっていた自分の子供を、単にウクライナに戻しただけでなく、キーウへ戻しました。だから、ウクライナの勝利に、私は誰よりも関心があります。単にこの国の国民としてそう思っているだけではなく、ここに子供がいるから、私は、彼らが安全に生きて欲しいと思っており、彼らにとって全てのことが良くあって欲しいと思っているからです。
私たちの子供がここで私と幸せに過ごせる。その願望が私を前に進ませており、私たちの勝利を信じさせています。