被占領下ウクライナ南部で反ロシア集会
27日、ロシア軍が占領するウクライナ南部ヘルソン州のヘルソンとカホウカでは住民が反ロシア集会を開催した。同州ヘニーチェシクでは、ロシア軍人が占拠する建物に住民が火を放った。他方、同州ホーラ・プリスタンでは、ロシア軍は地元住民を拉致している。
ヘルソン市では、中心地の自由広場に住民が集まり、親ウクライナ集会を実施。参加者は、ロシア軍人がこれまでに多くの集会参加者を拉致しているが、ヘルソン市民は集会を続けているとし、それにより侵略者に対して、市民が侵略者を恐れていないことを示したいのだと伝えた。
ロシア軍人は、集会参加者に対して解散を要求するも、市民側は「ヘルソンはウクライナだ!」「ウクライナに栄光あれ!」などをシュプレヒコールをあげた。
参加者は、反ロシア、反プーチンのスピーチを行い、ロシア軍人に対して、「家へ帰れ!(ダモイ!)」などと叫んだ。
これに対して、ロシア軍人は発砲を始め、発煙弾を使用。参加者は、少なくとも1名が足を負傷したと伝えている。他方で、人々は、集会を続けているとのこと。
ヘルソン市の集会参加者たちは、「可能な形で闘っている」とコメントしている。
ヘルソン州議会のソボレウシキー第一副議長は、カホウカも同日侵略者・占領者に反対する集会を開催していると報告した。
ソボレウシキー氏は、「自由な人々が自らの真実を防衛している。彼らはウクライナの子供である!」と書き込んだ。
同州議会のフラン議員は、同じく被占領下にあるヘルソン州ヘニーチェシクにて、ロシア軍人が滞在している軍事委員会の建物に地元住民が火を放ったと伝えた。
フラン氏は、「ヘニーチェシク市民は、ロシア占領者に抵抗している。夜中、彼らはロシア軍人が占拠し、滞在している軍事委員会に火を放った」と書き込んだ。
なおクリミアと隣接するへニーチェシクは、2月24日のロシアの侵略が開始した直後にロシア軍に占領されていた。以降、地元の報道機関の記者たちが記者活動を辞めている。市長を務めていたオレクサンドル・トゥルポウ氏は、副市長らとともに、ロシア軍人の圧力を受けて辞任を発表し、その後「支援センター」の開設を発表し、自発的に住民をサポートする人たちを支援する活動を始めている。ロシア軍は、へニーチェシクでロシアの通貨ルーブルを住民に使わせ始めている。
同州ホーラ・プリスタンのバビチ同市議会議長は、ロシア軍人が同市の住民を拉致したと報告した。
同氏は、「昨日私たちは、市内にて、また一人の住民を失った。彼の姓はドヴォルニーという」と報告した。同氏は、人々の拉致に関する情報は全て確認されており、全て裁判前捜査のために通報してあると伝えた。他方で同氏は、これまで拉致された人々の行方は不明であるとし、「ジュネーブ条約は誰も無効化していない。これらの犯罪による責任が取られることになる」と発言した。
ヘルソン州では、その他の自治体でも反ロシア集会が続いている。ロシア軍人による集会参加者に対する武器の使用が確認されており、負傷者や被拘束者が出ている他、各地で住民や地方自治体関係者の拉致事例が報告されている。また、ロシア軍人による略奪事例も報告されている。
ウクライナでは、2月24日から、ロシア軍による侵略戦争が続いている。
写真:フロマツィケ