ロシアは2022年のマリウポリ制圧の際に意図的な飢餓戦術を用いた=国際法律事務所

国際法律事務所のグローバルライツコンプライアンスは、ロシア連邦が2022年のマリウポリ制圧時、町を封鎖して住民が食べ物を入手できなくするようにする意図的な飢餓の戦術を用いたとし、それは戦争犯罪に相当し得ると報告した。

英ガーディアンが報じた

記事には、「法律家たちは、ウクライナの町の包囲中に人々への食料やサービスの提供を奪う戦略は戦争犯罪に相当する可能性があると述べている」と書かれている。

ロシアが2022年初頭のウクライナのマリウポリ市を85日間包囲した際に、戦争犯罪に相当する意図的な飢餓戦術パターンを実行したことが、国際刑事裁判所(ICC)に提出された最新の分析に記されているという。

その結論は、ウクライナ政府と連携して活動する「グローバルライツコンプライアンス」の法律家たちがICCへと提出している書類の核心部分だという。そこには、ロシアと同国首脳陣が同市の民間人を多数殺害し、危害を加える意図を持っていたと主張されている。

ロシア・ウクライナ全面戦争の当初、マリウポリの包囲・制圧の際には、2万2000人が殺害されたと推定されている。包囲から数日後には、住民は水、ガス、電気のない状態に置かれたが、その際の気温はマイナス10度を下回っていた。

「グローバルライツコンプライアンス」のパートナー、カトリオナ・マードック氏は、ロシアの攻勢は4段階からなると指摘しつつ、「民間のインフラへの攻撃から始まり、電気、暖房、水の供給の遮断に終わる」とし、その後は人道的避難が拒絶され、援助は届けられなかった、と説明した。

同氏は、第3段階では、重要インフラが攻撃の標的となり、民間人は援助・水の提供ポイントの爆撃で恐怖に陥れられたと指摘した。そして、最後の第4段階では、ロシアは、残っているインフラを破壊あるは奪取するために戦略的攻撃を行ったという。

同氏は、マリウポリへの段階的攻撃は、ロシアが民間人に容赦なくこの前線都市を圧する計画を立てていたことを示しているとし、同市には全面侵攻が始まる前は45万人が暮らしていたと評価されていると補足した。

報告には、包囲中にマリウポリ市内の約90%の医療施設と住宅が破壊される、あるいは損傷したとあり、食料配給ポイントや人道的避難経路が爆撃されたと結論付けられている。

マリウポリの重要さとロシアの意思決定が中央に集中していることを考慮すれば、大量の民間人の死の責任は、政権上層部が負うと指摘されている。

マードック氏は、「ウラジーミル・プーチンが咎められるべき」「そして軍上層部もだ」と述べた。同時に、具体的な指揮官の名前は挙げなかったという。

写真:イェウヘン・マロリェトカ