国際共同捜査グループ、マレーシア航空機MH17撃墜事件の容疑者を発表 裁判は2020年開始

マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表した。裁判プロセスは、2020年3月9日に開始される。

19日、オランダのハーグにおいて発表された。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

今回起訴された容疑者4名は、以下のとおり。

レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍)。「DPR」側で戦闘に参加。

セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍)。ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐。兵器の使用計画の容疑。

オレグ・プラートフ(ロシア国籍)。予備大佐。地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当。

イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍)。ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐、ロシアの対ウクライナ侵略に積極的に参加。

フレッド・ヴェステルベク・オランダ検事総長は、「裁判のみが、私たちが全ての情報を発表できる唯一の場所である。今回の発表は、一部である。ギルキン、ドゥビンスキー、プラートフは、MH17撃墜を起こした軍事行動に責任を負っている。彼らは、ボタンこそ押していないが、同事件の発生をうながした者たちである。故に、彼らは容疑者なのである」と強調した。

また、ヴェステルベルク検事総長は、本件の裁判は2020年3月9日に開かれると発表した。同検事総長は、「私たちは、本年末までに全ての文書を、裁判コンプレクス『スキプホール』へ渡せることを期待している。裁判プロセスの開始は、2020年3月9日午前9時である」と発言した。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。