シェレメート記者殺害事件 捜査班、5名の容疑者を発表

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著名記者パウロ・シェレメート記者殺害事件の捜査班は、殺害に関与したと見られる容疑者5名を発表した。

12日、国家警察のイェウヘン・コーヴァリ副長官が記者会見時に捜査結果を発表した。

容疑者として発表されたのは、医者・ボランティアのユリヤ・クジメンコ、東部の反テロ作戦に志願兵として参加していたウラディスラウ・フリシチェンコ、インナ・フリシチェンコ、空挺大隊の衛生兵として従事していたヤナ・ドゥハル、反テロ作戦退役兵のアンドリー・アントネンコの5名。

コーヴァリ副長官は、監視カメラの動画と分析の結果により、上記5名を特定したと発表した。また、副長官は、捜査開始当初、捜査班は4つの犯行動機を検討していたが、内3つに関しては証拠が見つからなかったと指摘し、「捜査班は、著名人殺害を通じた国家の社会・政治情勢の不安定化という犯行動機という筋で、捜査を継続した」と発言した。

副長官は、この捜査の一環で、ウクライナ領で自動車爆破によるシェレメータ氏殺害事件の前後の爆破関連事件を調査し、関連し得る事件35件を特定したと指摘。そして、副長官は、その内、2015年秋の南部ヘルソン州の送電塔爆破と2018年夏のイヴァノ=フランキウシク州コシウ市でのビジネスマンCh氏殺害未遂を特に注意を向けたと述べた。

副長官は、2015年11月21日のヘルソン州チャプリンカ付近にて2回爆発があり、送電塔が破壊されたことを喚起し、その際の現場で写された写真を分析したところ、アントネンコ氏(通称:ナツィス)の存在が浮上。また、同氏が、シェレメート氏殺害現場から遠くない、キーウ(キエフ)氏中心部に住んでいることが判明したという。

アントネンコ氏の人間関係を調べるうちに、ユリヤ・クジメンコ氏とK氏(通称:エレクトリク)氏の存在が浮上。彼らは、共同でウクライナ軍人への支援を行なっていたという。

2018年夏のイヴァノ=フランキウシク州コシウ市でのビジネスマンCh氏殺害未遂の際に使われた爆発物は、シェレメート記者殺害時に用いられたものとほぼ同一であったことが判明したとのこと。

その他、フリシチェンコ夫婦の関与を判明。最初に拘束したのは、ウラディスラウ・フリシチェンコ氏であったと発表された。

フリシチェンコ夫婦の未決囚予防措置にて逮捕判決が下された際、法廷に現れた人物の中に、クジメンコ氏とドゥハル氏がいたという。

なお、同日、アンドリー・アントネンコ氏は、自身のフェイスブック・アカウントにて、シェレメータ氏殺害容疑が伝達されたことを書き込んだ。また、ブロガーのナザール・プリホジコ氏は、同様にユリヤ・クジメンコ氏も拘束されたことを伝えた。

なお、11月6日には、キーウ市ペチェルシキー地区裁判所にて、反テロ作戦退役兵のインナ・フリシチェンコ氏に対し、未決囚予防措置として、60日間の逮捕命令が言い渡されている。

これに先立ち、9月には、ウラディスラウ・フリシチェンコ氏に対しても、同様に逮捕判決が下されていた。

ウラディスラウ・フリシチェンコ氏に対する容疑は、2018年7月のイヴァノ=フランキウシク州でのビジネスマン殺害未遂容疑であった。

当時より、治安機関内関係者情報として、フリシチェンコ夫婦のパウロ・シェレメータ記者殺害への関与が調べられていると伝えられていた。

なお、ウクラインシカ・プラウダ通信の著名な調査報道記者であったパウロ・シェレメート氏は、2016年7月20日、キーウ(キエフ)市内で自動車爆破により殺害されている。