宇露間国境の監視団活動停止問題にOSCE議長が遺憾を表明

欧州安全保障協力機構(OSCE)議長を務めるスウェーデンのアン・リンデ外相は、ロシアの立場によりウクライナ・ロシア間国境のロシア側国境地点「グコヴォ」と「ドネツク」の2点におけるOSCE国境監視団(OM)の活動が継続できなかったことにつき、遺憾の意を表明した。

16日、OSCEウェブサイトに議長声明が掲載された

リンデ議長は、「OSCEが自らの平和と安定のプラットフォームという役割をはたすためには、OSCEは、自らが手にする全ての現存手段を完全に行使できなければならない。私は、ロシア連邦の決定により監視団のマンデートの継続について私たちがコンセンサスに達せなかったことを深く遺憾に思っている。7年間以上、同監視団は偏見のない監視と報告を通じてロシア・ウクライナ間国境の信頼と透明性向上を促進してきた」と発言した。

同氏はまた、ミンスク諸合意は完全履行しなければならないと強調しつつ、諸合意の1つである2014年締結のミンスク議定書がOSCEによるウクライナ・ロシア間国境の恒常的監視と検証、及びウクライナとロシアの国境隣接地域に安全圏を創出することを定めていることを喚起した。

これに先立ち、9月2日、OSCE常設理事会会合にて、ロシア連邦が、ウクライナ・ロシア間国境で監視活動をしていた、OSCE国境監視団(OM)のマンデート延長を拒否していた

なお、OSCE国境監視団(OM)は、OSCE常設理事会の決定(コンセンサス)により、2014年7月29日に、ウクライナ・ロシア間国境のロシア側国境検問地点「グコヴォ」と「ドネツク」の2点に設置された。同監視団は、同国境地点に常駐し、情勢と国境の移動を監視し、報告書を出版していた。現在同地点で活動するのは、22名の国際監視員。なお、OSCEウクライナ特別監視団(SMM)とはマンデートや要員数などが異なる。

ウクライナやその他の国は、OMのマンデートがロシア側の2地点に限定されているのは、国境情勢を監視目的を履行する上では不十分であるとし、被占領地のウクライナがコントロールを失っているその他の国境地点へのマンデート拡大を繰り返し呼びかけてきたが、ロシアが関連決定を妨害し続けてきた(OSCEの決定は、加盟国によるコンセンサスが必要なため)。さらにロシアは、双眼鏡や無人機を含め、OM要員による監視目的の装備の利用も認めてこなかった。