【ウクライナ東部情勢】9月の民間人犠牲者数、2020年夏以降最多=OSCE
2021年9月のウクライナ東部の停戦違反の件数と民間人犠牲者数が、現在の停戦体制が発効した2020年7月以降、最大となっている。
三者コンタクト・グループ(TCG)欧州安全保障協力機構(OSCE)特別代表のミッコ・キヌネナ氏が29日のTCG定例会合後に記者団に対して発言した。
キヌネン氏は、「治安分野の情勢は不安定だ。9月は、停戦体制への1日の違反が平均して250回以上登録されている。特に懸念されるのは、砲撃・銃撃の結果により生じている民間人の間の犠牲者の数が大きくなっていることだ。2021年9月、これらの数は2020年7月の停戦方策発効以降、最大となっている」と発言した。
同氏は、TCG治安問題作業部会において本件が議論されたとし、参加者たちが状況に関する自らの見解を表明したが、「残念ながら、具体的な方策については合意しなかった」と報告した。
その他、TCG政治問題作業部会では、ミンスク諸合意に従った行動計画案の作成と今後の行動について議論が行われたと報告された。
人道問題作業部会について、同氏は、「私は、人道問題作業部会が議題について内容ある議論に戻ったという肯定的事実を歓迎する。参加者が、ルハンシク州のゾロテーとシチャースチャの新たな通過地点の開通への道に残る障害除去の手段を見つけようとしていることは、喜ばしい」と発言した。
また、経済問題作業部会は、水供給問題を協議したとのこと。その他、同作業部会は、国際原子力機関(IAEA)のドネツィク・ルハンシク両州一部地域(被占領地)における監査組織の方策を協議した他、衝突ライン付近の炭鉱の崩落に関して、今後の専門家グループ第2回会合の開催を歓迎したと報告された。
なお、OSCEウクライナ特別監視団(SMM)は、29日付日報にて、9月28日のドネツィク・ルハンシク両州の確認停戦違反件数を400回以上と報告している。