クレーバ宇外相、ドイツ政府に対して、戦車提供の決定採択を急ぐよう呼びかけ
ウクライナのクレーバ外相は、ドイツがいずれウクライナに対して主要戦車を提供する決定を採択することを確信しているとしつつ、今は決定採択を急ぐよう、そして独製戦車の提供の準備のある他の国にその提供を許可するよう要請していると発言した。
クレーバ外相が独ターゲスシャウへのインタビュー時に発言した。
クレーバ氏は、「私たちは、戦車問題への遅延のない正直なアプローチを望んでいる。私たちが過去10か月で知ったように、それはいずれにせよ実現するものだ。それは時間の問題に過ぎない。何のために、誇れる決定を遅延なく採択するのではなく、自分を、私たちを、皆を苦しめるのだ?」と指摘した。
同氏はまた、たとえドイツが現在ウクライナに主力戦車を供与しないことの何らかの根拠を有していたとしても、同国はいずれそれを将来のあるタイミングで実現することになるとの見方を示した。その際同氏は、同様のことは自走榴弾砲、防空システム「アイリスティー(IRIS-T)」、そして最近の歩兵戦闘車「マルダー」や防空システム「パトリオット」でも生じていたことだと喚起した。そして同氏は、さらなる決定がエスカレーションをもたらしかねないとの見方を否定し、ロシアは単独で好きな時に状況をエスカレーションさせていると指摘した。
その他同氏は、「常に同じスキームなのだ。最初彼ら(編集注:独政府)はだめだという。そして、その後旺盛に自らの決定を擁護する。後になって最終的に『よし』と言うためにだ。私たちは、独政府がどうしてそのようなことを行っているのか、何とか理解しようと努めている」と発言した。
その際同氏は、そのような「単独では行動しない」という行動モデルは、ドイツだけでなく、他の国にも見られると指摘した。
同時に同氏は、「しかし、毎日ベルリンやらその他の首都での決定の(不)採択は、火砲や戦車の不足から、誰かが前線で死んでいることを意味するのだ。それは、ロシアの傭兵『ヴァグネル(ワグナー)』が攻勢を続け、私たちの塹壕を占拠することを意味するのだ…。ベルリンにおける1日の議論は、同時に恐怖、苦しみ、痛みの1日であり、場所によってはウクライナの民間人と軍人の死の1日なのだ」と強調した。
同氏はさらに、ドイツ政府に対して、自分の所有する武器の提供を決定するまでの間に、独製武器をウクライナに提供することへの「青信号」を他の国に出すよう要請した。
同氏は、「私たちはドイツに期待している。なぜなら、ドイツは提示された課題を履行する能力を本当に持っている数少ない国の1つだからだ。ドイツの武器の供給に関するあらゆる議論のあと、主力戦車が最後(の問題)となっている。他の問題にはいずれも、動き、前進がある。そして、もしあなた方が、政府として、その最後の重要な決定を採択できないのであれば、少なくともあなた方の戦車を有しており、私たちのその戦車を提供する準備のある国に対して、青信号を出して欲しいと思っている。彼らがそれらを提供するには、あなた方の許可が必要なのだ」と発言した。
同時に同氏は、ドイツはすでにウクライナに対して、非常に重要な武器を提供してきたとし、それはウクライナ国民を助けただけでなく、ドイツ自身の国際的権威を強めることになったと強調した。
そして同氏は、ドイツがウクライナに「ウクライナ領においてロシアに勝利するため」に必要な支援を提供してくれれば、戦争がドイツに到達することはないと強調した。
その上で同氏は、「この紛争が長引けば長引くほど、損失はそれだけ多くなる。私たちには私たちの損失、ドイツには別の損失だ。そのため、皆がウクライナの迅速な勝利に関心を抱くべきなのだ」と発言した。
なお、ドイツ政府のヘーベシュトライト報道官は11日、独政府は、少なくとも今後数日で独製主力戦車のウクライナへの提供可能性に関する立場の変更は想定していないと発言した。