独与野党政治家、独政府にウクライナへの長射程ミサイル供給を呼びかけ

独ヴェルトアムゾンタグ紙は、ドイツの与党にも野党にも、ウクライナに対する武器支援を増やすこと、とりわけ長射程ミサイルの提供を支持する政治家がいるが、独政府自体は複数の「懸念」から同決定に至っていないと報じた。

ヴェルトアムゾンタグ紙が複数の政治家の見解を伝えた

野党「キリスト教民主同盟(CDU)」のローデリヒ・キーセヴェッター独議会議員は、「ドイツは、速やかにより多くの戦車『レオパルト2』、地雷除去装置、地対空システム、弾薬を供与すべきだし、巡航ミサイル『タウルス』も提供すべきだ」と発言した。

なお、キーセヴェッター議員は、数日前にウクルインフォルムにも同様のコメントをしている。

キーセヴェッター氏はまた、ドイツ連邦軍は「タウルス」システムを600保有しているが、その内約450は機能しておらず、ただしウクライナへの輸送のために改修することは可能だと述べつつ、しかし、それを実行するための政治意志が欠けていると指摘した。同氏は、それは「意図的な遅延戦術だ」とし、独政府が「ウクライナがクリミアを解放すること」を望んでいないことが理由だろうとの見方を示した。

同時に同氏は、「(武器の供給を遅らせることで戦争が)長引いて、戦争が、モルドバ、ルーマニア、バルト諸国、ポーランドのような他の国へと拡大するかもしれない」と警告した。

独与党「自由民主党」のマルクス・ファバー氏もまた、ウクライナへの巡航ミサイル「タウルス」供与への支持を表明した。同氏は、英国がすでに提供している巡航ミサイル(「ストームシャドー」)の成果が、その武器がどれだけ重要かを示している、と発言した。

マケイェウ駐独ウクライナ大使は、ドイツ政府に対して、現代的巡航ミサイルは人命を救うものであり、ウクライナへとそのようなミサイルの供与を拒否する態度を見直すよう呼びかけた。

その点につき、ヴェルトアムゾンタグ紙は、ドイツ政府のタウルス供与への拒否には、3つの要因によるものだと指摘した。1つ目はウクライナ政権への不信感(ドイツ政府内には、今もウクライナ政権の動機を疑っており、ミサイルがロシア領に向けて使われる可能性を懸念している)、2つ目はロシアの怒りを買った場合の同国の反応に対する恐怖、3つ目は米国が長射程ミサイル「エイタクムス」を提供していないことだという。

なお、ウクライナは、夏の初めから独政府に対して、独製長射程ミサイル「タウルス」の供与を求めているが、現在まで供与は実現していない。同ミサイルの射程最大500キロメートル。