NATO事務総長、ウクライナによるロシア領への長射程攻撃がプーチンの「レッドライン」だとは思わず

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、NATO加盟国がウクライナに対してロシア領内の合法的目標への攻撃を許可することがNATOが戦争に巻き込まれるとの発言は誤っているとの見方を示した。

ストルテンベルグNATO事務総長が英タイムズへのインタビュー時に発言した

ストルテンベルグ氏は、「ロシア領内の合法的目標に対する武器の使用を許せば、NATO同盟国が紛争の当事者になると述べるのは誤っている。北朝鮮とイランは、紛争の直接の当事者となることなく、ロシアに対して、多大な軍事支援を提供し、ミサイルや無人機を提供している」と発言した。

また同氏は、ウクライナに対してストームシャドーのような長射程ミサイルをロシア領攻撃のために使用する許可を出すことを支持している英国やフランスといった同盟国を支持していると発言した。さらに同氏は、そのような許可は個別の国が決めることであり、NATO全体で決めることではないとも指摘した。

同氏はその際、「そのような決定は、個別の国が下すものだ。私は、同盟国が武器使用の制限を解除した、ないしは、緩和したとの事実を歓迎している」と発言した。

その他同氏は、プーチン氏による、ウクライナが長射程ミサイルをロシア領内の軍事施設に対して使用することは「レッドライン」となり得るとし、それはロシアとNATOの戦争の始まりとなるとする警告を否定した。

その点につき、同氏は、「これまで彼が宣言したレッドラインはたくさんあったが、彼は、NATO同盟国をその紛争に巻き込み得るようなエスカレーションに踏み切っていない。彼がそれを行っていないのは、なぜなら、NATOが世界最強の軍事同盟であることを彼が理解しているからだ。彼らはまた、核兵器、核戦争には勝つことができないし、戦うべきでないことも理解している。そして、私たちは、彼に対して何度もはっきり伝えてきたのだ」と強調した。

なお、ストルテンベルグ氏のNATO事務総長の任期は今年10月1日まで。

写真:ウクライナ大統領府