ウクライナ、軍や国家機関でのメッセージアプリ「テレグラム」の使用制限へ
ウクライナの国家サイバーセキュリティ調整センターは19日、国家機関職員、軍人、安全保障・国防関連職員、重要インフラ企業職員の業務機器でメッセージアプリ「テレグラム」を使用することを制限する決定を下した。
国家安全保障国防会議(NSDC)がフェイスブック・アカウントで伝えた。
発表には、「9月19日、サイバーセキュリティ分野の重要な調整・管理機関である国家サイバーセキュリティ調整センターの会合が開かれた。会合には、国家特別通信情報保護庁、国家警察、ウクライナ軍参謀本部、ウクライナ保安庁(SBU)、ウクライナ国防省、ウクライナ中央銀行、ウクライナ・デジタル移行省、ウクライナ外務省、情報機関、電子コミュニケーション分野規制機関幹部、ウクライナ最高会議議員が出席した」と書かれている。
発表によれば、リトヴィネンコNSDC書記は、会合冒頭にて、サイバー空間における国家安全保障の強化と脅威への効果的な対応のために努力を結集させることが重要だと強調した。
会合の重要議題は、メッセージアプリ「テレグラム」使用に関連する、とりわけロシアの対ウクライナ全面戦争期間中の国家安全保障に対する脅威だったという。
ブダーノウ情報総局局長は、ロシアの情報機関がテレグラムのユーザーの個人的やり取りへ、たとえメッセージが削除されていた場合でもアクセスを得ていること、またユーザーの個人データへもアクセスしていることに関する根拠のあるデータを示した。
そしてブダーノウ氏は、「私は常に表現の自由を支持してきたし、今も支持しているが、テレグラム問題は、表現の自由の問題ではなく、国家安全保障の問題だ」と強調した。
SBUと参謀本部は、敵がサイバー攻撃、フィッシングやマルウェアの拡散、ミサイル攻撃修正のためのユーザーの位置情報把握などにテレグラムを積極的に利用していると指摘した。
これら脅威を最小化する目的で、国家機関職員、軍人、安全保障・国防分野職員、重要インフラ運用企業職員の業務用機器でのテレグラムのインストールと使用を禁止する決定が採択された。
そのメッセージアプリを使用することが業務上の義務の一部となっている者のみ例外となるという。
さらに、戒厳令下での携帯電話通信とインターネットの安定的な運用を確保することに大きな注意が向けられた。通信分野の企業は、ロシアのハッカーからサイバー攻撃を恒常的に受けている。
そのような脅威へ対応する上での連携を改善するために、会合出席者たちは、欧州における良質な実践例、とりわけISACモデルを用いて、業界におけるサイバー脅威に関する情報交換・分析のためのセンターを設置するイニシアティブを支持した。
また、停電時の電子通信ネットワークの不断の運用を確保するための問題が検討され、決定が採択された。
さらに、国家におけるサイバーセキュリティ分野の発展を目的とした複数の決定が採択された。その中には、サイバーセキュリティにおける女性の役割強化促進と男女平等の確保に関するイニシアティブの立ち上げや、ウクライナのサイバーセキュリティ戦略実現をモニターする自動化されたプラットフォーム「サイバートラッカー」の導入などがある・
そのほか、国家サイバー耐性の強化を目的とする問題は、非公開会合で検討された。