ロシアは2030年までにNATOを攻撃できるようになるかもしれない=独情報機関トップ
ドイツのブルーノ・カール連邦情報局長官は、ドイツはロシアと直接対立状態にあるとし、ロシアからの攻撃の対象となり得ると述べた上で、2030年までにロシア軍は北大西洋条約機構(NATO)諸国に攻撃を行える状態になり得ると指摘した。
14日、カール連邦情報局長官が独議会管理委員会での公聴会の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
カール長官は、「クレムリンは、ドイツ連邦共和国に敵を見ている。ウクライナへの支援量で2番目となる国として、私たちは、モスクワの評価では、間違いなく当事者なのだ。私たちが望もうと望むまいと、私たちはロシアと直接対立の中にある」と発言した。
またカール氏は、ロシアからドイツへの直接の軍事脅威の可能性も排除しなかった。同氏は、「ロシア軍は、この10年の終わり(編集注:2030年)までにNATOを攻撃できる状態になるかもしれない」と警告した上で、プーチンは単にウクライナのことを考えているのではなく、より大規模な目的、新しい国際秩序の創出を考えていると指摘した。
さらに同氏は、ロシアの情報機関はいよいよ攻撃的になっており、それがさらなるエスカレーションを生み出しかねないことをためらっていないと指摘した。そして、同氏は、この挑戦に対峙するために、ドイツの治安当局は追加のリソースを必要としていると発言した。
トーマス・ハルデンワング憲法保護擁護庁長官もまた、カール氏に同意した。ハルデンワング氏は、「私たちは、ロシア情報機関の攻撃的行動を観察している。特に、ドイツにおけるロシアのスパイ行為と工作は、質、量ともに伸びている」と述べ、すべての情報機関・治安機関の努力を結集させるよう呼びかけた。
同議論には、マルティン・ローゼンベルグ連邦軍事防諜庁(BAMAD)長官も参加した。ローゼンベルグ氏は、いわゆる重要インフラへのスパイ行為の件数が最近「懸念を覚えるほど多く」なっており、高度の注意が必要となっていると報告した。
ローゼンベルグ氏はまた、「注目の的は、ドイツ軍だ。ドイツの武器のウクライナへの供給であれ、訓練プロジェクトであれ、兵器プロジェクトであれ、あるいは不安感を生み出す工作行為であれだ」と発言した。
なお、同会合の前日、ナンシー・フェーザー独内務相もまた、ハンデルスブラット紙へのインタビューにて、ロシア情報機関の活動活発化について発言していた。
フェーザー氏は、「私たちは、プーチン政権がいよいよ攻撃的になっているのを見ている」と述べ、ドイツの治安機関は、ドイツをロシアのスパイ行為、工作、サイバー攻撃の脅威から守るために「信じられないほどのリソース」を割いていると指摘した。同氏はその際、詳細は述べなかったが、数か月前にドイツでロシアの命令で準備されていたいくつかの爆弾を用いた攻撃を防ぐことに成功したと伝えた。その工作は、ドイツによるウクライナへの軍事支援の提供を妨害することが目的だったという。
これに先立ち、ドイツのピストリウス国防相は本年9月11日、ロシアは戦時経済をあてにしており、もしかしたら数年で北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃できるようになるかもしれないと発言していた。