ウクライナ、農産物禁輸につきポーランド、ハンガリー、スロバキアをWTOに提訴へ

ウクライナ政府は、ポーランドとハンガリーとスロバキアがウクライナの農産物への禁輸を9月16日以降も継続したことを受け、世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。

ウクライナのカチュカ経済次官が米政治ニュースメディア「ポリティコ」へのインタビュー時に発言した

カチュカ氏は、これらの行為が法的に間違っていることを証明することが重要だ。そして、そのために明日私たちは、法的手続きを開始する」と発言した。そして同氏は、ウクライナはまたポーランドの野菜と果物の輸出に対する対抗措置をとる準備をしているとも伝えた。

また同氏は、ウクライナはポーランド、ハンガリー、スロバキアの提訴はWTOに対して行う予定であり、EUとの貿易協定を通じてではないとも述べた。

なお、この3か国は、欧州委員会によるウクライナの農産物のウクライナ領への輸出許可に関する9月15日付決定に反して、独自の禁輸措置を導入すると発表していた。

カチュカ氏は、「私たちの目には、そのハンガリーとポーランドの方策は、欧州委員会への完全な不信の表明に見える」とコメントした。

さらに同氏は、3か国が欧州委員会の決定に公然と反抗していることはEU内部の問題に限らず、「最大限体系的な懸念」を呼び起こすものだとし、欧州委員会がEUの名のもとに発言していることを、国際貿易パートナーが信頼できるのか、という疑念を生じさせるものだと指摘した。

同氏は、「長年にわたり欧州委員会がEU全体の貿易交渉の組織者であり、貿易政策機関であった。そして、私たちはこれまではそれを基盤として活動してきた」と述べつつ、ハンガリーとポーランドによるEUの立場の無視という体系的アプローチは、「EU全体にとって問題」となるとの見方も示した。

そして同氏は、「EU加盟国が貿易パートナーやEU自体に対してどのような態度をとっているか、世界中が目にするべきだと思う。なぜなら、他の国にも影響を及ぼし得るからだ」と強調した。

これに先立ち、欧州連合(EU)は15日、ウクライナの農産物4品目を近隣EU加盟国5か国に輸入できなくする暫定措置を延長しないことを決定していた

しかし、欧州委員会の同決定を受けて、ポーランド、ハンガリー、スロバキアの3か国は、ウクライナの穀物の輸入への禁止措置を独自に継続すると発表していた。

2023年5月、欧州委員会は、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアの5か国の要請を受けて、ウクライナから5か国への小麦、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリの輸出を禁止していた。6月5日、同禁輸措置は2023年9月15日まで延長されていた。

また7月19日、5か国の農業相は、ワルシャワにて、欧州委員会によるウクライナの穀物への禁輸措置を2023年年末まで延長することを主張する共同声明を採択していた。なお、穀物のこれらの国の通過は維持される。

他方、ウクライナ政権は、欧州委員会がウクライナ穀物禁輸措置を9月15日以降延長した場合、ウクライナは同様の措置の導入を検討する可能性があると主張していた。