ウクライナの人道小麦支援、戦争続くスーダンに到着
戦争の続くスーダンに、ウクライナが人道目的で送った小麦が到着した。
28日、国連世界食糧計画(WFP)広報室が発表した。
発表には、ポートスーダン市にウクライナの小麦が到着し、戦争の続くスーダンでの緊急配給のために荷下ろしが行われていると書かれている。この食糧支援は、スーダンの紛争の被害を受けている100万人の住民への配給食料の中核となるものだという。今回提供される食料は1か月分だと説明されている。
今回の供給は、ゼレンシキー宇大統領が開始した「ウクライナからの小麦」と呼ばれるウクライナの人道支援の一環で実現されているもの。同イニシアティブは、1500万ユーロの実施コスト全てを支払ったドイツ外務省のおかげで可能となったとある。この支出には、ウクライナからスーダンまでの小麦の輸送費や、スーダン国内での人々の間の配布実施費用が含まれているという。
WFPは、「この支援は、スーダンの飢餓危機の決定的な時に届いた」と指摘し、通常食料が不足し、飢餓が増加する5月の飢饉季の前に、国内の戦闘が拡大している中での到着だと説明した。7600トンの小麦粉は、戦闘によって自らの家を離れ、食料需要を満たすために毎日困難を抱えているスーダンの家族に配られるという。
WFPスーダン担当ディレクターのエディ・ロウ氏は、「この支援は、WFPが戦争によって生活が完全に破壊された人々を支えることを可能にするものだ。私たちは、スーダンの人々が最も必要としている時に彼らを支援してくれたウクライナとドイツに深く感謝している」と発言した。
さらにWFPは、飢餓の季節が近づくにつれ、民間人が食料支援を受けられなければ、飢餓による大惨事が迫ってくると警告していた。現在スーダンでは、約1800万人の人が深刻な食料不足に直面しており、その内500万人近くが緊急レベルの飢餓にあるという。昨年4月の紛争開始からWFPは、すでに約700万人に緊急食料・栄養支援を提供してキルが、ニーズは増え続けているという。
これに先立ち、2022年11月26日、ウクライナがアフリカ諸国の食糧危機克服を目的に主導するイニシアティブ「ウクライナからの穀物(Grain from Ukraine)」の立ち上げ首脳会談がキーウで開催され、20以上の参加国や欧州連合(EU)から計1億5000万ドルが集まったことが発表されていた。
なお、同イニシアティブには、日本政府も支援をしている。日本政府は2022年11月11日、ソマリアの深刻な食料危機に対する支援として、ウクライナ産小麦のソマリアへの輸出を通じた総額1400万ドルの支援の実施を決定したと発表。同年12月には、日本政府などの支援を受けた上で、南部のオデーサ海洋港から2万5000トンのウクライナ産小麦を載せた貨物船がソマリアへ向けて出帆していた。
写真:WFP