ゼレンシキー大統領、米上院に対ノルド・ストリーム2制裁への支持を要請
ウクライナのゼレンシキー大統領は、米議会下院が9月に米国防予算へ、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始に対抗する修正を加えたことに謝意を述べつつ、同議会上院にも同修正を支持するよう要請した。
12日、ゼレンシキー大統領がツイッター・アカウントにて書き込んだ。
大統領は、「欧州のガス脅迫は永久に止められねばならない。私たちは、米下院がNDAA(国防権限法)へ、『ノルド・ストリーム2』を止める修正を加えたことに感謝している。米上院のウクライナと欧州連合(EU)の全ての友人に対して、上院でもその修正を支持するよう要請している」と書き込んだ。
これに先立ち、9月、米下院は、ノルド・ストリーム2に対する制裁を国防予算案へ加えることに同意していた。法案成立のためには、上院での採択と、バイデン大統領の署名が必要となる。
ノルド・ストリーム2は、今年9月に完工している。現在、同パイプラインがドイツ規制機関からの承認発行手続きが続いている。
同天然ガスパイプラインは、ウクライナを迂回する形で、ロシアからドイツへとバルト海を通じて建設されたもの。露国営ガスプロム社などが出資者。
また、7月21日、米国とドイツは、「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。同合意は、米国が同ガスパイプラインの完工を容認するものであるとして、米国内外にて批判が出ていた。
とりわけ、同合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、米独合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。