米国、ウクライナ周辺の露軍集結につき制裁を警告=米国務長官
ブリンケン米国務長官は1日、ロシア連邦によるウクライナ周辺の軍部隊集結につき、米国はロシアの攻撃的振る舞いに対して、欧州の同盟国とともに、これまでは控えていた経済的圧力を含む手段で対応する準備があると発言した。
ブリンケン氏がリガにて開かれた北大西洋条約機構(NATO)外務理事会の際の記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
同氏は、「私たちは、クレムリンに対して、私たちがこれまで控えてきた高い効果を持つ経済方策の発動も含め、断固として対応していくことを明確にわからせた」と強調した。
また同氏は、自身がリガに来たのは、同盟国との行動を調整するためだとし、「当然ながら、彼らも私たちと同様に断固とした準備ができている」と指摘した。
同氏は、「私たちは、ロシアがウクライナに対する侵攻行動計画を有しており、同国を内部から不安定化し、大規模な軍事作戦を準備していることを示す兆候に深く憂慮している。私たちは、そのシナリオを、ロシアがウクライナに侵攻した2014年にも目にしている」と発言した。その際、同氏は、2014年のウクライナへの侵攻前にもロシアはウクライナ国境沿いに軍を著しく集結させ、それと並行して、自らの軍事行動の準備を正当化させるべく、あたかもウクライナが侵略国であるかのように見せる偽情報拡散を活発化させていたことを喚起した。同氏は、過去数週間、ソーシャルメディア上のロシア発の反ウクライナ・プロパガンダが通常の10倍以上に活発化していることが観察されており、それはロシアのウクライナ侵攻の始まる直前の2014年に観察されていたレベルに近づいていると指摘した。
同時にブリンケン氏は、プーチン露大統領がウクライナ侵攻の決定を下したかどうかは現時点では不明だとしつつ、「しかし、私たちは、もし彼がそのような決定を採択した場合、短期間でそれを行う潜在力を生み出していることは、確かに把握している」と発言した。
その上で同氏は、たとえ意図や時期が不明であっても、「私たちは、あらゆる予見不可能な情勢に備え、ロシアが方針を変えるよう努力しなければならない」と強調した。
また同氏は、ウクライナもロシアもミンスク諸合意履行の必要性を指摘していると述べ、「米国は、外交とミンスク諸合意履行への支持を確認する。私たちは、全ての当事者に2020年7月レベルの停戦体制を回復するよう呼びかけた。私たちは、ロシアに対して、情勢沈静化を行い、最近の部隊集結を見直し、軍を常駐地点に戻し、重火器と兵力をウクライナ東部のコンタクト・ラインから退け、更なる脅迫やウクライナ国内からの不安定化の試みを控え、更なる軍事行動計画を断念するよう要請した」と発言した。
同氏は、米国はウクライナの主権と領土一体性を揺らがず支持しており、安全保障分野のウクライナとのパートナーシップにコミットしていると述べた。
同時に同氏は、「私たちは、ロシアに対して自らの明確な立場を伝えており、またウクライナに対して抑制を示し続けるよう呼びかけている。なぜなら、ロシアのシナリオは、正に、彼らが自分でしようとしていることを引き起こさせることにその目的があるからだ」と発言した。
その上で同氏は、3日にはストックホルムで開かれるOSCE外相級会合の際に、クレーバ・ウクライナ外相とラヴロフ露外相とそれぞれ会談することを伝えた。
同氏は、米国は外交的手段で危機の収束を望んでいるとし、その危機は米露関係、米欧関係、世界の平和と安全にとって長期的な被害をもたらしうるものだと指摘した。
なお、11月30日から12月1日にかけて、リガにてNATO外相理事会が開催されていた。
ウクライナのクレーバ外相は1日、リガにて開かれる北大西洋条約機構(NATO)外相理事会会合にジョージア外相とともに出席した。クレーバ外相は、その際、NATO加盟国外相にロシアによるウクライナ東部の治安情勢激化、ウクライナ国境沿いの軍部隊集結、ロシア軍再侵攻の危険、ロシア発偽情報の強化について詳細に報告している。