ブリンケン米国務長官、ミンスク諸合意にてロシアが履行していない項目を列挙

ブリンケン米国務長官は2日、ロシア・ウクライナ武力紛争の解決を目的とするミンスク諸合意につき、合意項目を履行していないのはウクライナではなく、ロシアであると指摘した。

ブリンケン米国務長官がストックホルムで開催された欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ブリンケン氏は、ラヴロフ露外相がウクライナがミンスク諸合意を履行していないと発言したことに応じる形で、「セルゲイ氏(ラヴロフ露外相)が、ミンスク諸合意を履行しなけれならないと発言していた。私たちは、それには完全に同意するのだが、しかし、そこは事実に基づかなければならない。双方(編集注:ロシアとウクライナ)がミンスク諸合意に従った義務を負っている。またOSCEも同諸合意の参加者だ」と発言した。

ブリンケン氏は、ロシアこそがミンスク諸合意を履行していないのだと指摘し、諸合意が定める各義務を挙げつつ、「停戦は、ロシアによって履行されていない。全ての重火器の撤去は、ロシアによって履行されていない。OSCE監視員への許可は、ロシアによって履行されていない(編集注:OSCEウクライナ特別監視団(SMM)のウクライナ全土への自由なアクセスの付与を指す。クリミアへの移動やドンバス被占領地内での移動が頻繁に制限されている)。特別地位法は、ウクライナによって履行された。恩赦法は、途中だ。『全員対全員』公式での政治囚の交換は、ロシアによって履行されていない。国際的メカニズムにもとづいた人道支援供与の確保は、ロシアによって履行されていない。社会・経済的繋がりの回復は、ロシアによって履行されていない。このように、延々と述べ続けることができる」と発言した。

同氏は、タンゴは二人で踊るものであるとし、ロシアに対して、ウクライナが行っているのと同じように、ミンスク諸合意の義務を履行するよう呼びかけた。

ブリンケン氏はまた、ロシアがクリミアを奪取したことで、それがクリミア・タタール人やロシアの占領に平和裡に反対したウクライナ人の人権の大規模な侵害をもたらしていると指摘した。

さらに、同氏は、ロシアがウクライナに対する大規模な再侵攻を計画している可能性につき憂慮を表明した。

同氏は、「そのため、私たちは、ロシアに対して、ウクライナの主権と領土一体性を尊重し、情勢を沈静化し、軍の集結を止め、部隊を常駐地点に戻し、ミンスク諸合意、特に停戦とOSCE監視員の自由で障害ないアクセス確保の項目を履行するよう要請している」と発言した。

なお、2日、ストックホルムにて、OSCE外相理事会が開催された。ブリンケン米国務長官は、クレーバ宇外相とラヴロフ露外相それぞれと会談している。

写真:大統領府