ウクライナ国会、人権オンブズマンを解任 国連ミッションが注意勧告

ウクライナ最高会議(国会)は5月31日、リュドミラ・デニーソヴァ人権問題全権を解任した。

最高会議ウェブサイトにて、解任投票の結果が公表された

解任を支持したのは議員234名(過半数は224)。反対は9名、留保は28名だった。

フロロウ最高会議与党「人民奉仕者」会派議員は、解任の理由は、人道回廊組織、被拘束者保護・交換、被占領地からの住民追放への対抗などにおける権限の体系的不履行、ロシア占領地において行われたとされるも証拠が確認されていない「不自然な手段で行われた性犯罪」「児童への強姦」事例の詳細のメディアへの拡散を指摘した。また、デニーソヴァ氏が2月24日以降、業務とは関係なく長期間国外滞在をしていたことも指摘した。

これに対して、デニーソヴァ氏は、テレグラム・チャンネルにて、今回の解任を裁判で訴訟すると発言した

デニーソヴァ氏は、スタッフに謝意を伝えつつ、自身の今回の解任は違法であると考えているとし、「私は、憲法、ウクライナ法、国際基準に反して解任された。この決定は私は裁判で訴える」と強調した。同氏は、法は皆にとって平等であると述べた。

さらに、国連ウクライナ人権監視ミッションは、本件につきフェイスブック・アカウントにて声明を出し、今回のデニーソヴァ氏の解任は、国際基準に反するものだと指摘した

声明には、「私たちは、現在、ウクライナにとって、偏見なく人権侵害を捜査でき、正義と被害の賠償の模索において被害者を支えられる、独立した強力な機構を待つことがかつてないほどに重要となっていると思っている。国際基準は、そのような機構を規制する法律が明確に定められた根拠によって独立し客観的な解任プロセスを有すことを要求している」と書かれている。

監視ミッションは、最高会議により不当に簡素化された手続きにて採択された決議には、全権の解任理由が説明されていないと指摘した。

そして、「この決定は、機構の独立を弱体化し、その活動を妨害する。私たちは、政権機関に対して、ウクライナ最高会議人権問題全権の独立を保障するための緊急の方策を取り、国際基準を法律でも実戦でも遵守するよう要請する」と強調した。