ロンドンにて国際ウクライナ復興会議始まる ゼレンシキー宇大統領がビデオ演説
21日、ロンドンにて2日間にわたるウクライナの復興と改革をテーマとする「ウクライナ復興会議」(URC23)が始まった。
同会議は、2017年のロンドンで第一回会合が開催されてから各国で開催されてきたもので、2022年にはスイス・ルガーノにて初めてウクライナの復興をテーマにして開催された。
今回のロンドンの会議も、改革だけでなく、ロシアの侵略後の復興支援が議論される。
ウクライナからは、シュミハリ首相が出席する他、オンラインでゼレンシキー大統領が演説を行う。
ゼレンシキー宇大統領は、同会議の際にビデオ演説を行い、ウクライナの復興の5つの要素として、一致団結、安定、発展、安全、民主主義を挙げた。
演説にてゼレンシキー氏は、「第一に、私たちは団結を強化する。ウクライナは欧州連合(EU)をかつてないほどに一致させることができた。それは確かに価値ある団結であり、政治、イデオロギー、繊細、経済、人道の面での決定にて反映されている。ウクライナは全ての連帯の力を活性化し、EUもそれについて熟考することになった。そして今、ウクライナはNATOの倫理的力を活性化させている」と発言し、NATOによる平和を守る倫理的リーダーシップの活性化の話だとし、それはウクライナがNATOに加盟することによってのみ可能となるものだと補足した。
さらに同氏は、ウクライナは実質的にNATOの安全保障空間に属しており、必要なのはNATO加盟国首脳たちがその現実を認める政治的勇敢さだけだと強調した。
同氏また、ウクライナは英国、米国、カナダ、日本、豪州といった民主的国々の首脳とも強力な二国間連合を発展させていると述べ、「そのことが私たちに防衛とグローバルな民主主義の展望における新しい力を与えている。連合を築きながら、私たちは馴染んできた自由のレベルを確保している」と発言した。
そして同氏は、「今私たちは、真実を防衛することができ、その悪やあらゆる新しい侵略者にとっての今後の道を封じるために、ロシアの侵略後に残った破壊を克服することができる。世界中の目が今私たちを見ている。私たちがこのロシアの侵略に勝利する時(自由は、私たちの価値を譲歩することなく、勝利に値する)、世界は私たちが当たり前の生活を再建することができるかどうか、その結果私たちの変貌が、侵略者のイデオロギー上の敗北を意味することになるかどうか、を見ることになる」と発言した。
また同氏は、ウクライナもパートナー国も、今後復興していくものはもう壊されることがないということに確信を持たねばならないと述べ、それは単にレンガから建設するということだけでなく、生活全般のことだと指摘した。同氏は、現在続いている戦争は、国々が憎悪に毒されていた過去から戻ってきたものであり、その思想は未来も現在も毒すものであり、それは止められねばならないと発言した。
同氏は、「私たちはウクライナを守っており、自由を守っている。私たちがウクライナを建設する時、私たちは国、地域、大陸。世界のために自由を再建している。それはグローバルな課題だ。そして、私は、スイス、ドイツ、フランス、イタリア、復興の重要原則に同意してくれた国々に感謝を伝えた。この会議にて、私たちは、ビジョンから合意へ、合意から現実のプロジェクトへと移行せねばならない」と発言した。
また同氏は、2つ目の重要要素は「安定」だとし、「私たちは、ウクライナにて農業やエネルギーの能力を築くことで、世界を混沌から守っている」と発言した。
その際同氏は、少なくとも世界の6億人の消費者がウクライナの農産物を頼っているとし、それは食料安全保障にとって甚大な潜在力だと指摘した。
同氏は、ロシアがウクライナの海洋港を封鎖しており、黒海・アゾフ海の航行の自由を破壊している中、世界はウクライナの穀物の重要さに気付いたと述べ、ウクライナの穀物がないことで様々な国で価格危機、社会崩壊の脅威が生じたと指摘した。
そして同氏は、「私たちは現在、2つの輸出イニシアティブの一環で、海を通じた私たちの食料品の流通を部分的に再開した。それは、大きな社会・経済的空間にとっての安定である」と強調した。
加えて同氏は、安定にとっての重要な側面がエネルギー問題だとし、「私は、以前も経済のグリーントランスフォーメーション(GX)には代替がないと思っていたが、ロシアの侵略はGXは安全保障の重要な基本の1つであることを証明した」と発言した。
同時に同氏は、ロシア軍によるウクライナのエネルギー施設への攻撃や、エネルギー危機を引き起こすという脅しは、世界の多くの地域がロシアというエネルギー供給源に頼ることができた、古いエネルギーの時代を終わらせることになっていると発言した。
そして同氏は、グリーンエネルギーの世界での発展がエネルギー安定性を保証すると述べ、またウクライナは欧州のためにきれいなエネルギーや「グリーンな」水素の重要供給国になる可能性があると述べた。同氏はその際、同分野の能力は約4000億ドルに相当すると発言した。
その他同氏は、「安全」について、「私たちは安全を強化している。この戦争は、現代世界において侵略に対する効果的手段が何かを示している。どのような武器がどれだけ必要なのか、どのようなインフラが不足しており、どの製造が優先課題なのか、どのような技術が大規模に人命を救い、どのようなシステムが戦場で素晴らしい現実を作り出せるのかを示しているのだ」と発言した。
同氏は、ウクライナは友好国とこの分野について取り組まねばならないとし、「戦闘用無人機製造、火砲弾薬、国全体、地域全体を守る空の盾、各学校のシェルター、イランのシャヘドが壊せないように作られたインフラ、恒常的サイバー攻撃を受ける中でも守られるサイバー空間」の必要性を訴えた。