米独仏、ジッダでのウクライナ和平会議を肯定的に評価
米国、独、仏の政府関係者は、5、6日にサウジアラビア・ジッダにて開催されたウクライナ和平協議を肯定的に評価していると発言した。
米国のミラー国務省報道官は、ワシントンでの記者会見時に、同協議は生産的だったと発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ミラー氏は、「私たちは生産的な協議を感じた」と発言した。
同氏はまた、米国からはサリヴァン米大統領国家安全保障問題担当補佐官とヌーランド国務第一次官代行が出席したと伝えた。
さらに同氏は、「私たちは、複数の国が、ロシアがウクライナに対して行ってきた暴力や、ウクライナの領土一体性と主権を維持する公正かつ永続する平和に関する同国の見方について、同国から直接聞くことができたことを生産的だと考えている」と発言した。
その他同氏は、中国が同協議に参加したことも肯定的だと指摘し、「私たちは、中国がウクライナにおける戦争の停止に一定の役割を担い、同国がウクライナの領土一体性と主権を尊重するような役割を担いたがれば、生産的となるだろうと長らく話してきた」と発言した。
ドイツのホフマン第一副報道官は、7日の記者会見にて、ジッダでの同協議の結果をドイツ政府は肯定的に評価していると発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ホフマン氏は、「私たちの見方では、ジッダでは成功裡に会合が行われた」と発言した。
同氏はまた、同協議は40か国以上の参加国がウクライナにおける公正かつ永続する平和達成の手段を一緒に模索し、ゼレンシキー大統領が提案する「平和の公式」について協議する願望と意志を示したと指摘した。
そして同氏は、「評価は異なるが、協議の全ての参加者が国連憲章とその基本原則へのコミットメントを示したのだ」と発言した。
さらに同氏は、同会合では、とりわけ食料安全保障、核安全保障、エネルギー安全保障、捕虜交換や連れ去られたウクライナ児童の帰還といった人道問題、戦争による環境被害といった議題が協議され、これらは今後も協議されていくと発言した。その際同氏は、これらは全てウクライナの「平和の公式」に含まれているものだと喚起した。
同氏は、「ドイツは同プロセスに引き続き積極的に参加していく」と明言した。
ドイツのフィッシャー外務報道官は同日、ジッダ協議では、6月のコペンハーゲン協議の際より3倍の国が参加したことを指摘した。フィッシャー氏はまた、とりわけジッダではウクライナと常に対話をしているわけではなく、ウクライナと和平案の協議をしていない国々も参加したとし、そのような国々の代表者がウクライナの代表者と直接対話をする機会を得たと発言した。
また同氏は、ドイツの視点では、国連安全保障常任理事国である中国が同協議に初めて参加し、「自らの役割を果たした」ことが重要だと指摘した。
そして同氏は、「目的は、永続する公正な平和の原則、ロシアの侵略戦争終結に関してコンセンサスに達することであった」とし、今次の戦争の被害は全世界が被っていると指摘した。
フランスのブーン欧州担当国務長官は、LCI局へのインタビュー時に、ジッダでの和平協議ではグローバルサウスの国々が平和と民主主義の側にいることを示したため、同協議は希望を与えるものだったと発言した。
ブーン氏は、「私はサウジアラビアにて私たちが、BRICSのブラジル、中国、南アフリカを含む広範な国々を目にすることができたことを、非常に肯定的にみなしている。私たちは、これまでそれらの国々、いわゆるグローバルサウスが、どちらの側にいるのか最終的に立場を決めていないと述べていた。しかし、彼らは明らかに平和、民主主義、国境の防衛の側にいる。よって、参加国数とそれらの国々が参加したことは、最初の極めて肯定的な瞬間であった」と発言した。
同氏はまた、これらの国全てが一緒に作業をしているのを目にすることはかなり希望を与えるものだとし、なぜならそれらの国々全てが、食料安全保障や、「国連憲章の原則への挑戦、つまり、明確に定められた国境を伴う領土一体性原則への挑戦」に対する、ロシアの対ウクライナ戦争の凄惨な被害を懸念しているからだと発言した。
同氏は、全ての国がゼレンシキー大統領の提案する10項目の和平案を基本に据えて今後も作業していくのであり、それが「非常に肯定的」なことだと強調した。
同時に同氏は、それらの協議の主要な目的は、「ウクライナが決めた時に提示でき、世界の大半が支持する、和平計画を策定すること」にあるとも発言した。
これに先立ち、5、6日、サウジアラビアのジッダにて、ウクライナのための平和原則について協議する約40か国が参加した国家安全保障補佐官・外務省政治局長会合が開催されていた。
協議後、ジョウクヴァ宇大統領府副長官は、同協議にて、あたかもウクライナ側が、自らの提案する「平和の公式」の1項目であり、和平の必要条件であるロシア軍のウクライナ領からの撤退につき、譲歩したかのように伝える報道を否定した。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、同会合後、最も困難な問題は、戦争の終結のためにロシアがウクライナ領を去らねばならない、ということを全ての国が理解しているわけではないことだと発言していた。
なお、「平和の公式」とは、ロシア・ウクライナ戦争の平和を確保するために実現が必要な、(1)核の安全、(2)食糧安全保障、(3)エネルギー安全保障、(4)全ての被拘束者と追放された人の解放、(5)国連憲章の履行とウクライナの領土一体性と世界の秩序の回復、(6)ロシア軍の撤退と戦闘の停止、(7)正義の回復、(8)環境破壊行為対策、(9)エスカレーションの防止、(10)戦争終結の確認、の10項目からなるウクライナが提案している和平案のこと。同案は、ゼレンシキー宇大統領が、2022年11月15日、G20首脳へ向けたビデオ演説を行った際に提案したもの。