クレーバ宇外相、ロシアの「2022年春に露宇は和平合意に近付いていた」ナラティブを否定

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ウクライナのクレーバ外相は14日、2022年春にあたかもウクライナとロシアが和平合意に近付いていたかのように主張するロシア発プロパガンダ・ナラティブを否定した。

クレーバ外相がソーシャルメディア「X」アカウントに掲載した関連動画で説明した

クレーバ氏は、「2022年春にウクライナとロシアは実は合意に近付いていた」とする話はロシアと親露的な人々が好んで広めている嘘であるとしつつ、他方で、注意深く事実を見てみれば、その話はどのような批判にも耐えられるようなものではないことがわかると指摘した。

そして同氏は、「なぜロシアがそのナラティブを広めているのか、自問してみて欲しい。答えはシンプルだ。イスタンブル協議へと注意を向けることで、ロシア人は、欧州の中心での戦争についての罪を侵略国である自分から、侵攻を受けたウクライナへと転嫁しようとしているのだ。彼らは、ロシアが2022年2月に全面侵攻を始めたことを忘れることを望んでおり、その代わりに、2022年3月末の協議に注意を向けている。焦点をずらすことで、彼らは、あたかもロシアは実は平和を望んでおり、ウクライナがそれを拒絶したかのように皆を説得しようとしているのだ。馬鹿げている。ロシアが平和を望んでいたのなら、ロシアはウクライナへの侵攻をそもそもしていなかったはずだ」と発言した。

同氏はまた、全面侵攻当初にウクライナとロシアの代表団は確かにイスタンブルで会談を開き、戦争終結手段につき協議していたとしつつ、しかし、両国の立場にはかなりの開きがあり、ロシアの要求はあまりに奇想天外なものであったため、真の解決策の展望は全く見当たらなかったと指摘した。さらに同氏は、報道機関にリークされた文書は議論を反映しただけのものであり、2022年3月には何も合意に至らなかったのだから、それを実際の合意とみなすことはできないと強調した。

加えて同氏は、ロシアのもう1つのナラティブである、ジョンソン当時英首相がキーウを訪問して、あたかもゼレンシキー大統領に対してロシアと和平合意を締結をしないように圧力をかけたというものを否定した。

その際クレーバ氏は、第1に、ゼレンシキー大統領に圧力をかけることは誰もできないと指摘し、第2に、ジョンソン氏の訪問後である、4月、そして5月さえも両国代表団の協議は続いていたと指摘した。

同氏はまた、和平合意締結の展望を実際に壊したのは、ジョンソン氏でもゼレンシキー氏でもなく、プーチン氏自身だとし、「彼がウクライナにおける平和をもう10年以上も破壊しているのだ。(中略)だからこそ戦争は今も続いているのである。私たちが一緒になってはじめてロシアを止めて、同国の欧州の他の国に関する侵略計画に終止符を打つことができるのだ」と強調した。

これに先立ち、ロシアのプーチン氏は4月11日、2022年春にトルコで行われた停戦交渉の合意案に同意する意向を示していた。

また、フランスのルコルニュ国防相が4月上旬、ショイグ当時露国防相と電話会談を行った際、ロシア国防省は「ウクライナについて話す準備が表明された。イスタンブル平和イニシアティブが出発点となり得る。ジュネーブの会談にロシアの参加がなければ開催する意味はない」と発表していた

なお、ウクライナは、現在6月にスイスで開催される「平和サミット」を成功させるために外交努力を続けており、ゼレンシキー宇大統領が、「ルールに基づいた国際秩序」を重んじる各国の首脳を同サミットに招待している

スイス政府は4月10日、今年の6月15、16日に、ロシアからの全面侵略を受けるウクライナの平和達成を目指す「平和サミット」を主催すると発表していた。アムヘルト・スイス大統領は、同サミットでは人道、核安全保障、航行の自由、食料安全保障という4つの議題が提起されると述べている

欧州連合(EU)のボレル外務・安全保障政策担当上級代表は4月18日、6月の平和サミットの際には、国際社会がロシア・ウクライナ戦争の終結のあり方について自らの視点を調整することになると指摘した。また同氏は、その際には、ロシアが侵略国であることは忘れてはならず、公正な平和はウクライナの条件の下でのみ可能だと発言した