ウクライナ外務省、マリ政府による外交関係断絶発表につき声明発出
ウクライナ外務省は5日、マリ暫定政府による「ウクライナによる国際テロ支援」との非難を否定した上で、ウクライナとの外交関係断絶への遺憾を表明、また非友好的行動に対する必要な政治・外交的対応をとる権利を留保すると発表した。
ウクライナ外務省広報室が声明を公開した。
外務省は、「マリ共和国暫定政府によるウクライナとの外交関係断絶の決定は、近眼視的で性急なものである。(中略)ウクライナは国際法、他国の主権と領土一体性の不可侵の規範を一貫して遵守しており、マリ暫定政府によるあたかも『ウクライナが国際テロを支援している』かのような非難を断固として否定する」と表明した。
また声明では、ウクライナは20世紀に国連の創設国の1つとして、マリ共和国をはじめとするアフリカの人々の独立と脱植民地の権利を積極的に支持してきたと強調されており、これに対して、ロシアは、ウクライナに対していわれなき全面的武力侵略を継続しながら、国際安全保障機構を破壊し、とりわけアフリカ諸国の自由な未来を得る権利を保証する、国連憲章の目的と原則に反していると説明されている。
その上で外務省は、「マリ共和国暫定政府が、マリ北部の事実と事件の状況の丁寧な分析を行うことなく、当該出来事へのウクライナ関与に関する証拠の提示も一切ないまま、ウクライナとの外交関係断絶を決定したことは遺憾である。これに際して、クレムリンに支配されている軍事組織、具体的には『ヴァグネル』が、テロ的手段を用いており、ウクライナやアフリカ諸国で、多数の戦争犯罪、民間人殺害、捕虜への残虐な扱いに直接関与していることは無視されている」と訴えた。
そして外務省は、ウクライナはマリ暫定政府の非友好的行為に対してあらゆる不可欠な政治・外交的対応措置を取る権利を留保すると強調した。
これに先立ち、マリ政府は、ロシア傭兵集団「ヴァグネル」の一団をマリ国内での殲滅にウクライナ情報総局が関与したとして、ウクライナとの外交関係を断絶することを決定したと発表していた。