ロシアのイスラム教の宗教指導者はロシアの帝国的利益を支持している=専門家

タタールスタン独立亡命政府のアイダ・アブドラフマノヴァ副首相は、現在のロシア、とりわけタタールスタン共和国では、イスラム教関係者はモスクワの帝国的利益を支持する普通の政権幹部になっていると指摘した。

アブドラフマノヴァ副首相が、タタールスタンのムフティー(宗教指導者)であるカミリ・サミグリン氏による、ウクライナにおける戦争の参加者は天国へ行ける、とする発言につき、ウクルインフォルムにコメントする形で発言した。

アブドラフマノヴァ氏はまず、モスクワ軍がカザン・ハン国を制圧した後の占領期、イスラム教はタタール民族を維持する上で重要な要因であったが、現在は状況が変わっていると指摘した。

同氏は、「力の機構の銃口と圧力に晒される中で、現在のタタールスタンにおけるイスラム教は、モスクワ占領者に対する闘争の象徴としてのタタール人のアイデンティティの自己存続にとっては重要な意味を持たなくなっている。ムフティーやホズラトは、主権性を失っており、プーチンやその取り巻きの政治的意志に完全に従っている」と発言した。

また同氏は、プーチン・ロシアにおけるムフティーは「自らのポスト、権力、財政源を維持するために行動する政権幹部と同じ」だと指摘した。そのため、それら人物は、帝国的モスクワの国益を維持しながら、タタール人をあらゆる手でもってロシアの対ウクライナ戦争へと向かわせようとしており、タタール人を意図的に騙し、その残虐な侵略のおかげで天国へ行けるなどと約束しているのだと説明した。

さらに同氏は、タタールスタン共和国のムフティー、カミリ・サミグリン氏は2014年からロシアのウクライナへの侵攻を支持していた人物であり、今年だけで3回もロシアの占領するドンバス地方を訪れたことを自慢している者だと指摘した。

同氏は、サミグリン氏が第二次世界大戦と現在の対ウクライナ侵略を比較していることを冒涜的だと指摘しつつ、「確かに、似ている戦争ではある。その時は、ソ連と植民地の民たちは、ファシストと対峙していた。今回は、いわゆる『特別軍事作戦』で、ロシア自身がファシストと占領者の役割を担っているのだ! なぜなら、ロシアにも、タタールスタンにも、誰も侵攻していなかったし、ロシアが主権国家ウクライナに侵攻し、民間人の殺害、ウクライナ人への暴力や拷問、インフラの破壊を続けているからだ」と強調した。

これに先立ち、ロシアでは、タタールスタンのムフティーであるカミリ・サミグリン氏が、ロシアの対ウクライナ全面戦争は「正当」だとし、この侵略の参加者は「信仰のために殉教者として認められ」「天国へ行ける」などと発言していた。

写真:アブドラフマノヴァ氏提供