ウクライナがロシア領の飛行場を攻撃できるようにしなければならない=EU上級代表

欧州連合(EU)のボレル外務・安全保障政策担当上級代表は15日、ウクライナは侵略国領土の深部から毎日ミサイルと無人機の攻撃を受けており、それにより民間インフラが壊され、民間人が殺されているのであるから、同国はロシア領内の飛行場と発射地点を攻撃できるようにならねばいけないと発言した。

ボレル外務・安全保障政策担当上級代表氏が、ゼレンシキー大統領も参加したイタリア開催の国際経済フォーラム「アンブロゼッティ」への出席の総括を自身のブログにて見解を表明した

ボレル氏は、「ゼレンシキー氏は、イタリアやその他のパートナーが提供してくれた防空システムに感謝したが、しかし、ウクライナの広大な領土をカバーするにはそれらは十分ではない。特に、ウクライナはいまだに、ロシア深部にあるこれらの攻撃の発信源である飛行場や発射地点を攻撃する権限を得ていないからだ。それにより、ロシアの侵略者は、安全な地点から、ウクライナに対して不処罰のまま悲しみと破壊をもたらすことができている」と指摘した。

また同氏は、ゼレンシキー大統領は同フォーラムの際の演説で、ウクライナ人はこの戦争を誰よりも終わらせたいと思っているが、しかし、自分たちの主権を犠牲にしたいわけではないことを明確にしたと伝えた。そして、ゼレンシキー氏は、ロシアがウクライナに生き残りを賭けて戦う以外の選択肢を残しておらず、無人機やミサイルによる、病院や学校、図書館や住宅を攻撃し、民間人を毎晩殺害していると伝えたという。さらにゼレンシキー氏は、北朝鮮やイランがロシアに提供しているミサイルや無人機から身を守るために、地下シェルターや地下や地下鉄駅で勉強するウクライナの児童のことも話したという。

その上でボレル氏は、「私たちは、ウクライナの自衛を助けることは何でも行うと約束してきたし、防衛は攻撃に対して効果的に対応できることを意味する。私の考えでは、ウクライナはそれら攻撃の発射元を標的にできる能力を持つべきである。『弓だけでなく、射手を攻撃せよ(to strike the archers, not just the arrows)』だ。それが、私が前回のブリュッセルにおける非公式外務・防衛閣僚会議で、侵略に関わる重要ロシア軍事施設を、それがどこにあろうと、ウクライナが標的にする権利を支持した理由であり、国際法によってそれは認められているのであり、国際法はロシアとの国境で止まらない。いくつかの加盟国は、この立場を支持しているし、いくつかの国は、それは国の裁量権の問題だとみなした。よって、本件にEUの共通の立場はない。しかし、明確なことは、ロシアが民間標的への爆撃キャンペーンを激化させている中で、現在の政策はウクライナ人の命にかかわる非常に大きな犠牲を伴うものであり、ウクライナを支援するという私たちの決意の信頼性に影響を与えるものであるということである」と強調した。

さらに同氏は、「アンブロゼッティ・フォーラム後の数日間、ゼレンシキー大統領はこの重要な問題について米国や英国の指導者たちと協議した。協議は、来週ニューヨークで開催される国連総会でも続けられることになっている」と伝えた。

同時に同氏は、「それが、誰かが指摘するような、ロシアとの戦争に突入するわけでも、戦火に油を注ぐわけでもないことを理解しておくことは重要だ。ゼレンシキー大統領の立場にあれば誰でも、全く同じことを頼んでいたであろう。なぜなら、ウクライナがそれら攻撃の発射地点へ反撃することが許されていなければ、ロシアは処罰されることなくウクライナを破壊し続けるのだから」と発言した。