ウクライナ外務省、中国・ブラジル案への支持を表明したスイスに失望を表明
ウクライナ外務省は29日、スイス政府がいわゆる「中国・ブラジルの6項目のコンセンサス」への支持を表明したとの情報に失望を表明した。
ウクライナ外務省がコメントを発出した。
コメントには、「私たちは、そのような決定のロジックが理解できない。なぜなら、私たちは、6月15、16日にビュルゲンシュトックにてスイスとともに第1回『グローバル平和サミット』を組織したのであり、そこには100の国と国際機関の代表者が出席したのだから」と書かれている。
外務省はまた、スイスはウクライナの「平和の公式」の具体的項目に関するテーマ別会議に出席していることを指摘し、それら会議は、「ウクライナのための包括的で公正で永続する平和」の回復のための共通の平和のフレームワークを準備することが目的だと喚起した。
そして同省は、ウクライナの平和を回復するためのアイデア、議論、計画はいずれも、2つの原則に基づいたものでなければいけないとし、「ウクライナについてウクライナ抜きでは何も(編集注:議論しない/決定しない)」というものと、国連憲章に基づき、ウクライナの国際的に認められた国境内での主権と領土一体性への尊重を含んだ提案でなければいけない、というものだと強調した。
そして同省は、ゼレンシキー大統領の「平和の公式」が包括的で公正で持続可能な平和への唯一の道筋であるとし、ウクライナの平和達成の道筋を議論するために追加のフォーマットやプラットフォームの創設は必要ないと指摘した。
その上で同省は、「国連憲章への明確な参照がなく、ウクライナの領土一体性の完全回復を保証しないイニシアティブはどのようなものも受け入れられない。そのような『和平イニシアティブ』は、対話の幻想を作り出すだけであり、同時に、侵略国が自らの犯罪行為を続けるだけである」と指摘した上で、スイスと他の全ての国に対して、国際法と国連憲章を支持し、公正な平和プロセスを複雑化しかねないだけのいわゆる「和平イニシアティブ」への参加を回避するよう要請した。
これに先立ち、スイスインフォが、28日にニコラス・ビド・スイス外務報道官が、中国とブラジルのロシア・ウクライナ戦争終結に関するイニシアティブは、停戦と政治的情勢解決を呼びかけるものであり、スイスはそのイニシアティブの原則を支持すると発言したと報じていた。
ビド報道官は、中国とブラジルのイニシアティブは、国連でウクライナとロシアの双方から聞かれた「好戦的なスピーチ」に対する代替を提案するものであり、重要だと発言していた。
さらに同氏は、中国の王外交部長が今週同イニシアティブの文脈で国連憲章の重要性を指摘していたとし、スイスは常に和平イニシアティブにおける国連憲章への参照の重要性を強調してきたと発言した。
なお、ゼレンシキー宇大統領は、中国とブラジルの戦争終結に関する提案は「破壊的」だと指摘している。