モルドバ被占領地のエネルギー危機は「露ガスプロムが人工的に作り出したもの」=サンドゥ大統領
モルドバのサンドゥ大統領は9日、現在のモルドバ被占領地トランスニストリアにおけるエネルギー危機は、ロシア国営企業「ガスプロム」がモルドバとの契約があるにもかかわらず、人工的に作り出したものだと指摘した。
モルドバのTV8がサンドゥ大統領の発言を報じた。
サンドゥ氏は、「私たちは、(編集注:トランスニストリアの)人々が困難な時を経験しているのを理解している。私たちは支援の準備がある。私は、彼らが、この危機は『ガスプロム』が作り出したのだと知っておいて欲しいと思っている。なぜなら、モルドバには天然ガス供給の契約があるからだ。その契約上、『ガスプロム』はガスを供給せねばならない。代替のパイプライン『トルコストリーム』がある。つまり、ガスがウクライナを通過できないことは問題ではないのだ。『ガスプロム』がこれ以上ガスを供給したくないと決めたから、人々が今そのような問題を抱えているのだ。私たちは発電機や衣料品で支援する準備がある。人々は、病院へ行かねばならなかったり、他の問題を解決せねばならなかったりする場合は、右岸(編集注:モルドバ政府管理地域)へ渡ってくることができる」と発言した。
また同氏は、昨日(8日)ウクライナのゼレンシキー大統領と電話会談を行ったとし、その際ゼレンシキー氏がウクライナはトランスニストリアへと石炭を供給することができると発言したと伝えた。
さらに同氏は、モルドバ国家地区発電所(MDRES)は現在貯蔵分の石炭で稼働しているとし、ただしその石炭は24日分しかなく、同地では燃料が非常に必要になっていると指摘した。
その際同氏は、「私たちは、MDRESがドニステル川(ニストル川)の左岸でも右岸でも発電できるように、ウクライナが石炭を供給する可能性について話した。ウクライナにとっても(編集注:発電する可能性について)だ。つまり、解決策がある。ティラスポリ(編集注:トランスニストリア占領政権)とモスクワが、人々の問題を解決するために同意せねばならない」と発言した。
同氏は、モルドバ政府はいわゆる「トランスニストリア政権」と協議を行なっていると伝えた。
その他、ヴォデ・モルドバ政府報道官は、モルドバ政府はドニステル川左岸に無料で天然ガスを供給することはできないとも発言している。
これに先立ち、ウクライナのゼレンシキー大統領は8日、モルドバのサンドゥ大統領と電話会談を行なった際に、ウクライナはモルドバを石炭提供などで支援する準備があると発言していた。