ロシア・ウクライナ戦争終結には全ての当事者が譲歩せねばならない=米次期国務長官候補

米国のトランプ次期政権での国務長官の候補であるマルコ・ルビオ氏は15日、ウクライナを巡る情勢における米国の主要な目標は戦争の終結に集約されねばならないとしつつ、他方で、全ての当事者が譲歩せざるを得ないだろうと発言した。

ルビオ氏が米上院での公聴会の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ルビオ氏は、「ウクライナが被っている破壊は甚大である。それを再建するためには、一世代が丸々必要だ」と発言した。

また同氏は、エネルギー分野を含むウクライナのインフラはロシアから引き続き攻撃を受けているとし、その復興には今後数十年必要だと強調した。さらに同氏は、数百万人のウクライナ国民が国外に暮らしており、その内どれだけが帰国するかはわからないとも指摘した。

そして同氏は、「よって、これは難しい紛争であり、私は、米国の公式な立場は、この戦争には終止符が打たれなければならないというものであるべきだと思っている」と強調した。

同氏は、その点で自身の立場はバイデン政権のアプローチとの違いがあるとし、バイデン政権は「紛争の最終的目的がどのようなものなのか、一度も定めなかった」との見方を示し、そのため自身はどこに向かっているのかわからない米国のこれまでの資金投入を批判してきたのだと述べた。

その際同氏は、「真実はこうだ。ロシアはこの紛争でウクライナ全土を制圧することはできない。ウクライナ人は非常に勇敢で懸命に戦っているし、同国は非常に大きいため、それ(編集注:全土制圧)が生じることはない」と発言した。

同時に同氏は、ロシアがどれだけ無能で、どれだけ損耗を被ろうとも、「ウクライナがそれらの戦力を侵攻の前に彼らがいた地点まで押し返すこと」ができると考えることは非現実的だと訴えた。

そして同氏は、戦闘のダイナミズムと規模に注意を向けた上で、ウクライナの問題は資金がなくなっているのではなく、人が足りなくなっていることにあると指摘した。同時に同氏は、プーチン氏の政策は受け入れられないとも発言した。

その上で同氏は、自身の戦争終結に関する基本計画の見方として、それは容易なものではなく、断固とした外交を必要として、停戦合意から始まるものだとしつつ、同時に現実主義者になる必要もあると指摘した。

同氏はその際、「ロシア連邦は譲歩に向かわざるを得ないが、それはウクライナ人も、米国もだ。加えて重要なのは、双方に一定のバランスがあることだ」と発言した。

続けて同氏は、プーチン氏の目的はウクライナに中立的地位を押し付け、停戦を利用し、戦力を再編し、4、5年後に戻ってくる(編集注:再侵攻を行う)ための最大限のてこを得ることにあると指摘しつつ、他方で、「それは、私が思うに、私たちの誰も支持しない結果である」と補足した。

また同氏は、ウクライナ人もまた自らのてこがあるとしつつ、それでも彼らは和平合意達成のためには「譲歩せざるを得ない」と強調した。

その上で同氏は、「それは非常に困難となり、容易ではなかろう。歴史的背景を持つその手の紛争は、多くの断固とした外交と難しい作業を必要とする。しかし、それは生じなければならないものであり、この紛争は止まらなければならない」と発言した。

ジェフ・マークリー上院議員(民主党)からの質問に答える形で、ルビオ氏は、現時点で軍事力以外に協議に対する影響力が存在すると指摘した。その際同氏は、「私たちはかなりの数の対露制裁を持っており、現在それは増加し、拡大しているし、それは他の国の制裁もそうだ。そして、それは平和的情勢解決達成の観点から、その協議の一部となるべきだ」と発言した。

さらに同氏は、たとえ紛争が終わっても、ウクライナの長期的な安全と安定の問題が存在するとし、「ウクライナは自らを守れるようにならねばならない。そして、それは、米国がオバマ政権の時に、武器の能力を提供しないことを決めた2014年には私が話していたことだ」と指摘した。

写真:ゲッティ