EU、ウクライナのためのスターリンクの代わりを模索 4社と協議=報道
欧州連合(EU)は、米国がウクライナとのインテリジェンス共有を止めてから、米国実業家イーロン・マスク氏が所有する企業の衛星インターネットサービス「スターリンク」に代わる同様のサービス提供手段の模索を急いでいる。
フィナンシャル・タイムズが報じた。
報道によれば、ルクセンブルクのSES、スペインのHisdesat(所有は英Inmarsat)、フランスのEutelsat/OneWebの4大衛星通信事業者が、ウクライナへの予備接続を確保する方法についてEU加盟国政府やEU機関と協議中であることをフィナンシャルタイムズに認めたという。
同時に、記事では、スターリンクの端末を交換することが引き続き複雑な課題だと指摘されている。ウクライナのフェドロウ副首相兼デジタル移行相は、4万台以上の端末が現在軍、病院、企業、人道支援機関で使われていると伝えている。
Hisdesat社のCEOであるミゲル・アンヘル・ガルシア・プリモ氏は、複数の欧州政府関係者から同社にコンタクトがあったと述べた。
同氏は、「私たちはそのイニシアティブの一部だ」と述べ、先週の米大統領執務室におけるトランプ米大統領とゼレンシキー宇大統領の会談がスターリンクの「代替をEUが提案できるかどうかという緊急の議論」を引き起こしたと指摘した。
同時に同氏は、「スターリンクがすでに持っているのと同数の端末を展開するのは、不可能ではないにせよ、非常に難しい。なぜなら、それらは何年もかけて集められてきたからだ」と説明した。
SES社のCEOであるアデル・アル・サレー氏は、ルクセンブルクを拠点とする同社はすでにウクライナにサービスを提供していると発言した。また同氏は、同社はウクライナにおける能力の拡大についての協議に参加していることを認めた。同氏は加えて、代替品に関する協議は数か月間行われているものだが、最近の出来事がその協議を「強めた」と指摘した。
記事には、短期的には、異なる軌道で運用されている欧州のサービス・ネットー枠は、安全な政府の通信、病院、都市、発電所のインターネット接続など、予備オプションとして利用できるだろうと書かれている。
スターリンクの端末は、より高い軌道でより少ない数の衛星を頼る競合他社のサービスよりも信号速度が速いという。しかし、その差は、数分の1秒に過ぎず、その遅延が問題になるのは特定の場面だけかもしれないとも指摘されている。
これに先立ち、ポリティコもまた、米国実業家イーロン・マスク氏が戦時にウクライナへの衛星インターネットサービス「スターリンク」の提供を維持するかどうかが不明な中、欧州連合(EU)の欧州委員会は、衛星通信をウクライナのために確保する支援の可能性を分析していると報じていた。