中南米諸国の記者がウクライナをプレスツアーで訪問
中南米7か国の記者9名のグループがウクライナ外務省の招待を受けて、5月27日から6月1日まで、ウクライナをプレスツアーで訪れた。
訪問したのは、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、チリ、ペルー、コロンビア、サルバドールの記者。プレスツアーの際には、ウクライナ大統領、大統領夫人、首相、外相や、ウクライナ市民社会代表者との面会が行われた。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ウクルインフォルムで行われたラウンドテーブル 写真:ユリヤ・オウシャンニコヴァ/ウクルインフォルム
1日にウクルインフォルムで開催されたオープン会合の際、ウクライナ外務省のシコラ氏は、「ウクライナは多くの文化、強力な市民社会の他、私たちをより良く知るために知っておくことが大切な多くのことがある。私たちは国家として、長らく、ラテンアメリカの国々に対して十分な注意を払ってこなかった。そのため今、それを修正して、市民社会、メディア、人々の間の繋がりを確立することが大切だ。私たちが互いにより深く理解し合うようになれば、そのコンタクトを維持すること、接点を見つけること、私たちの連携を発展させることははるかに簡単になる。正に今回の訪問はそういうものである」と発言した。
同会合の際、ウクライナの活動家たちは、自分たちの市民団体の活動につき説明したり、中南米の記者たちの質問に回答したりした。ウクライナにおけるロシアの戦争犯罪の記録、ロシアに連れ去られたウクライナ児童の帰還、ロシアの偽情報への対抗、中南米におけるロシアのプロパガンダの影響、注目の下がる中でのロシアの対ウクライナ戦争に関する世界への情報発信について話し合われた。
アリイェフ・ウクライナ・インスティテュート副総裁は、「これは、あなた方の出身国との非常に重要な対話だ。このようなコンタクトはもっとずっと前に得ておくべきだった。しかし、今日、私たちの前には戦争の脅威が立ちはだかっており、私たちにとって声を聞いてもらうことが非常に重要となっているのだ」と発言した。
同時にアリイェフ氏は、ウクライナ・インスティテュート(編集注:外務省傘下の文化外交組織)の代表者は、ブラジル、メキシコ、アルゼンチンを訪問する際に、ウクライナで起きていることだけでなく、それらの国々でアーティストや一般人がどのように生活しているか、どのような問題を心配しているかについても理解しようとしていると伝えた。
同氏は、「そして、私は、私たちの間の挑戦は非常に似ているということ、私たちは頻繁に似たような考え方をしているということ、私たちにとって多文化主義と民主主義は単なる美しいフレーズではなく、わたしたち皆がそれを経験しているということに気付いている」と発言した。
ウクライナ外務省の代表者は、ウクルインフォルムの記者に対して、中南米の記者たちはウクライナへのプレスツアーの際に、ウクライナ政権幹部との会談の他、「ウクライナ・中南米・カリブ海諸国」コミュニケーション戦略のプレゼンテーションにも参加したと伝えた。また、記者たちはキーウ州のブチャ、イルピン、ボロジャンカや、チョルノービリも訪れたという。
さらに記者たちは、ウクライナに暮らす中南米出身者、中南米出身で国際軍団で戦う外国人志願兵、これらの国出身でウクライナで活動する企業家とも話し合ったという。さらに、ソフィア大聖堂、ホロドモール博物館を訪れたり、ノーベル平和賞受賞者のオレクサンドラ・マトヴィーチュークとキーウ市内の尊厳革命の起きた場所をめぐったりしたという。
外務省代表者は、昨年11月以降、類似のプレスツアーはこれまでも行われており、アフリカから10か国15人の記者がウクライナを訪問したと伝えた。アフリカ諸国の記者たちは、食料安全保障のテーマに注目し、キーウの他、南部オデーサを訪問したという。今回、中南米の記者たちは、環境問題や放射線安全保障、子供たちの連れ去り問題に関心が高かったため、プレスツアーはこれらの問題を勘案されたものになったという。
今回の訪問は、ルネッサンス基金とフリードリヒ・エーベルト記念基金の支援によって実現されたものだとのこと。