ウクライナは反転攻勢で戦術的に意味ある進展を達成している=米NYT
ニューヨークタイムズ紙の12日付特集記事によれば、ウクライナ軍はアゾフ海に到達して、ロシアが占領するウクライナ東部とクリミアを分断するためにスタロマヨルシケを通じてベルジャンシクやメリトポリへ向かっていると指摘されている。専門家たちは、2つの主要攻勢方面では、いずれも約10〜12マイル(16〜19キロ)しか進軍していないが、ロシアに前線の他の地域から戦力を移動することを強いているという意味でその前進は重要だと指摘している。
米戦争研究所(ISW)は、この進軍を「戦術的に重要」だと形容した上で、ロシア軍の再配置は「ロシアの防衛ラインを全体としてさらに弱体化させる可能性が高い」とし、「ウクライナのいずれの突破口も潜在的に決定的なものとなる機会」を生み出していると指摘した。
ウクライナ軍や軍事専門家の話では、2つの主要攻勢方面の1つである、ベルジャンシクの海洋港を目指す方面では、ウクライナ軍は7月下旬に奪還したスタロマヨルシケ村の周辺で成果を固め、ロシアが拠点としているウロジャイネへ向かって前進しているのだという。
同時にロシア軍は、ウクライナ北東部のクプヤンシク市の方面で攻勢を仕掛けている。専門家は、ロシアはおそらくこの攻勢により、ウクライナ軍の他の攻勢方面から注意を逸らそうとしているのだろうと指摘した。
ニューヨクタイムズは、ウクライナはモクリ・ヤリ川流域を南下して進軍する上で、最も経験があり戦闘なれした海兵を含め、数千人の兵士を投入していると伝えている。
記事には、「もし彼らがウロジャイネを突破する、あるいは迂回できれば、彼らはアゾフ海の大型港湾都市であるベルジャンシク市とマリウポリ市から50マイル(80キロ)以内に迫ることになる。そして、ウクライナ軍の1マイル毎の進軍が、ロシアの補給ラインをさらに圧迫していくことになる」と書かれている。
なお、14日、ウクライナのマリャル国防次官は、領土奪還の反転攻勢を続けるウクライナ軍が南部前線のウロジャイネ(ドネツィク州)にて成功を上げていると発言していた。
写真:ウクライナ軍参謀本部